居場所をつくろう 共生の現場から

第1部 ホームレス(上) 「ビッグイシュー」

2017年1月3日

排除と包摂に向き合う

協力して段ボールハウスを作る参加者ら=昨年12月21日、大阪市中央公会堂

 社会的弱者を排除しようとする動きが強まる一方で、多様性を認め合い、人々のつながりを大切にしようという「共生」という言葉を耳にする機会が増えた。障害者、ホームレス生活者、外国人、高齢者、性的少数者(LGBT)らさまざまな形で困難を抱える人たちが働くことや学ぶこと、語らうことでつながる「居場所づくり」の活動をリポートする。第1部のテーマは「ホームレス」。仕事、住居、交流、自立に向けて大切なものを取り戻す取り組みを紹介する。

■交流□

 はさみで段ボールを切る人、飾り付けをする人、中に入って温かさを確かめる人。大阪市北区中之島の大阪市中央公会堂で開かれた「大阪ホームレスクリスマスパーティー」の様子で、ホームレスの自立を応援する雑誌「ビッグイシュー日本版」の販売者や市民、ボランティアスタッフら約190人が段ボールハウスの制作に取り組んだ。兵庫県三田市から家族5人で参加した岡田真二さん(39)は2回目の参加で、「明るくポジティブで、前回ホームレスの悪いイメージが払拭(ふっしょく)された。今回も来て良かった」と交流を楽しんだ。

 「ビッグイシュー日本版」の創刊は2003年9月。13年3カ月を経て昨年12月1日付号で300号となった。創刊時から雨の日を除くほぼ毎日、大阪・梅田の歩道橋の上に立つ浜田進さん。1日7〜8時間、「ビッグイシュー日本版」を販売している。

 浜田さんの楽しみは7、8月と12月を除いて毎月開催している「歩こう会」。販売者と市民がまち歩きを楽しむ会で、平均7、8人が集まり、「予定通り行けば4月頃に100回を迎える」。11月は8人が参加し、大阪市淀川区でお地蔵さんや寺院を巡った。浜田さんは「歩くのが好きだし、参加してくれる人がいるので」と毎回コースを下見するなど、10年間続く息の長い交流イベントを大切にしている。

■ステップ□

 両イベントを主催するNPO法人ビッグイシュー基金(佐野章二理事長)はホームレス生活者の自立に向けたさまざまな活動を展開しており、昨年力を入れたのは住宅問題の改善だ。佐野代表は「仕事をなくしてすぐにホームレスになるという状況は異常で、若い人のホームレス化の予防が必要。空き家と住宅問題のマッチングを模索している」と話す。

 具体的には、ホームレスの人が安価で利用でき、利用料の一部を積立金にして、入居期間中に次の段階への資金も積み立てられる「ステップハウス」の運営を実験的に進めた。協力的な家主から申し出があった大阪府茨木市のマンションを、利用料1万5千円のうち5千円を家賃、1万円を積立金とする仕組みで、利用期間を6カ月として提供。公共料金の支払い方や、自炊や節約の方法を入居者間で教え合いながら、1人が就労自立し、6人が積立金を元手に一般借家、シェア住居、簡易宿泊所に転居した。佐野代表は「排除と包摂に向き合うのが共生の理念。人には居場所と出番が必要」と話す。

ミニクリップ
 ビッグイシュー日本版 「ホームレスの人々の救済ではなく仕事を提供し、自立を応援する」ことを目的に販売している雑誌。路上でホームレスの人々に独占的に販売してもらい、売り上げの50%以上を収入にしてもらう仕組み。2003年9月から16年8月までの13年間で1706人が販売者に登録し、189人が仕事を得て自立。累計741万冊を販売、10億9431万円の収入をホームレスの人たちに提供した。