居場所をつくろう 共生の現場から

第2部 LGBT 淀川区の支援

2017年3月23日

多様性を認めるまちに

淀川区のLGBT支援事業の一部(左上から出前講座の様子、研修後の区職員の声、区役所玄関に掲げたレインボーフラッグ、エピソードが記された啓発展示パネル)

 「少数者にやさしい街は、だれにとってもいい街だから」

 2月9日、淀川区市民協働課の担当者を講師に、大阪市の市政改革室の職員を対象にしたLGBTの出前講座が開かれた。

■知るが第一歩

 改革室の17人が円卓を囲んだ。「すべての人に理解を求めることは難しいが、当事者が苦しんでいることは知ってほしい」と区担当者。「知る」が支援の第一歩だからだ。

 日本でLGBTの当事者は「13人に1人」ともされる。実は身近な存在だが、「何げない会話で傷つけていたのかも知れない」と振り返る受講者。直面する困難、思いなど当事者の声を映像で紹介すると、受講者の表情が変わった。

 意見交換では「アンケートなどで男女の記載欄に、その他とする人がいた。無意識で性を分ける意識がある。性別欄が必要でないものであれば作らなくてもいい」と具体例も。

 「どうすれば理解者になれるのか」との受講者の問いに、同課の中山浩司課長代理は「知識だけでなく、相手の価値を認めることだ」と応じた。

■喜びの声届く

 淀川区が発信したLGBT支援宣言は、反響を呼び、全国の当事者から喜びの声が届いた。行政が「支援する」というメッセージを発信することが、何より「自分たちが認められた」との当事者の思いにつながった。

 出前講座は2016年度に36件あり、依頼があれば区外にも出掛けていく。区の全職員を対象にした研修があり、研修を受けた職員の名札にはLGBT運動を象徴するレインボーフラッグマークが付いている。来庁する当事者の安心感につなげる試みという。

 「街の価値を上げること」と榊正文区長。LGBT支援の推進は誰をも受け入れ、多様性を認め合う、みんなが輝く街のカラーとなる。

 宣言から3年以上がたち、全国で支援に取り組む自治体が増えた。自治体=安心、信頼の組織。当事者の声から行政の役割をあらためて気付かされた。

■「本当の自分」

 支援事業を通じ、区市民協働課の松山雅彦係長は「当事者は大切な人たちには、本当の自分を知ってほしい」と語り、学校現場での取り組みの重要性を感じている。

 当事者の6割が義務教育期間までに自身の性指向、性自認に目覚めるとされ、さらにLGBT当事者は、いじめや不登校の経験割合が高く、若者の自死の歯止めにつなげたいとの思いもあるからだ。

 区役所5階にあるホワイトボードには、LGBT研修を受けた多くの区職員の声が貼られている。

 「全職員がLGBTを知る、大阪市になりますように」との願いもあった。

ミニクリップ
 淀川区LGBT支援宣言 2013年9月、全国の行政機関として初めて「淀川区では、多様な方々がいきいきと暮らせるまちの実現のため、LGBT(性的マイノリティー)の方々の人権を尊重します」と宣言。LGBTに関する職員人権研修▽正しい情報発信▽活動に対し支援等を行う▽声(相談)を聴く−を掲げる。専門電話相談、コミュニティースペースの設置、都島、阿倍野の各区と合同で教職員向けハンドブック「性はグラデーション」を作成するなどの支援策を展開。モデル自治体として注目を集める。