居場所をつくろう 共生の現場から

第4部 外国人(下) 働く環境

2017年7月21日

職責や評価を同一に

前西社長(左)と談笑する安さん=大阪市中央区のエバオン

 少子高齢化を背景に国内で働く外国人数が過去最高となる中、日本人と共存共栄ができる職場環境を築いていけるかは国の存続にかかわる課題だ。職責や評価で両者に差を設けない点が重視される一方、日本語への配慮や気軽に相談ができる風土づくりが求められている。

■やりがいを実感

 「日本人と同様に責任のある仕事を任され、しっかりやれば評価されるのがやりがい」

 7歳と4歳の子育てをしながら産業用部品商社「エバオン」(大阪市中央区)に勤める中国人の安英実さん(34)は笑顔を見せる。

 海外事業部主任を務め、中国や韓国からの問い合わせに対応。価格交渉も任されている。他社で働く中国人の中には、やりがいのある業務に就かせてもらえずやる気を失う姿も見てきた。

 安さんは「いまは子どもを迎えに行くため残業にも配慮してもらっているが、子育てが一段落したら仕事の幅を広げたい」と意気盛んだ。

■定着し次長級も

 エバオンは、海外展開を図るため1994年から外国人の本格採用をスタート。今は社員98人のうち海外事業部を中心に6人が働く。結婚や帰国を理由に離職するケースもあったが、定着して次長級の社員もいる。

 外国人の職場定着を巡る経済産業省の調査(2014年度)では、転職の理由は「希望する職務に就ける」「さまざまな経験をしたかった」と業務内容に関する理由が上位を占めた。また、離職していないケースも含め、外国人は「経営幹部への登用」や「長時間残業の見直し」を求めていたが、企業側は軽視している傾向が強かった。

 前西佳信社長(69)は「国籍を理由に給与や評価に差をつけないようにしてきた」と振り返る。その結果、海外展開の基盤が固まり、業績の向上に役立った。

■本音言える関係

 一方で外国人がさまざまな悩みを気軽に相談できる環境が重んじられる。

 エバオンで外国人採用を担当してきた人材開発部の谷口慎吾参事(60)は約5年前から外国人留学生らの就職支援を各種機関と連携して展開。100人以上が内定を得ているが、「定着している職場は、本音で話ができる関係を社員間で築けている」と説く。

 大阪市内の計測器メーカーでは、社内でデザートを楽しむ「ケーキの日」などで業務外の悩みを打ち明けられる機会を設けたり、経営者が母国の親とも交流。信頼関係を構築しているケースもある。

 言葉の壁への配慮も不可欠。大阪外国人雇用サービスセンターの担当者は「外国人が日本語で相談ができず、そのまま辞めてしまうケースも見られる」と指摘する。

 それぞれの強みを生かし、弱みを支える仕組みをどこまで整えられるのか。共生に向け、経営者や支援機関らの覚悟と工夫が問われている。

ミニクリップ
 外国人採用の動き 厚生労働省は2016年10月末時点の外国人労働者数が初めて100万人を突破し、108万3769人になったと発表。大阪は5万9008人で全国4位だった。大阪労働局によると、大阪外国人雇用サービスセンターが外国人留学生向けに手掛ける職場体験の参加企業数も増加。2015年夏の12社が翌年28社になっており、外国人採用を考える企業にとって「取っかかりになる」とみている。