居場所をつくろう 共生の現場から

第6部 学校(中) 大学の地域連携

2017年11月30日

学生らの刺激に

今夏、過去最大の参加者を集めた大阪工業大の工作・実験フェア=8月11日、大阪市旭区

 いま大学が、教育、研究と同じく積極的に進めているのが地域連携。若い力を求める地域に対する社会貢献は、貴重な実地学習の場として学生らの刺激にもなっている。

■人気の理系講座

 大阪市旭区の大阪工業大の大宮キャンパスには毎夏、近隣の子どもらであふれる人気企画がある。夏休みシーズン恒例の「工作・実験フェア」。今年は8月11日に96講座を開き、過去最多の約4800人を集めた。

 フェアは、小学生に理科の面白さを伝えようと2009年から実施。学生らが日頃の研究分野を生かし企画する本格理科系講座で、大工大の「最大規模の地域貢献イベント」になっている。

 工学研究科博士前期課程1年の土田真帆さんは今年、プレス機を活用したアルミのオリジナルグッズ教室を担当した。備品の購入や動線の確保まで、準備作業は多岐にわたるものの、当日の「子どもたちの笑顔」が原動力。「新鮮な反応に触れることは刺激になる」と声を弾ませる。

■貴重な学びの場

 大工大は学外でも体験型イベントへの出展や、区役所と連携した淀川河川敷の清掃活動など、多彩な取り組みを繰り広げる。

 同大研究支援・社会連携センターの上地和正課長は「社会問題が多様化する中で、教室から出て地域の声を聞き学ぶ活動は貴重」と話す。

 「つながる力」を基本コンセプトに据える同市東淀川区の大阪経済大は、学内に地域活性化支援センターを設け、地域と学生をつなぐ。18歳人口が減少する「2018年問題」に直面する大学にとって、学生を呼び込む魅力の一つになり得るのか。

 研究支援・社会連携部の松田裕一郎副参事は「受験生がまず目を付けることは少ないと思うが、全く関係ないとはいえない。入学後の学びの場としても積極的に推し進めていく分野」と強調する。

■つながる楽しさ

 爽やかに晴れた11月の朝、大経大キャンパスに小学生のにぎやかな声が響いた。近くの大隅西小との合同避難訓練。津波に備えて高所に逃げる想定で、学生らが全校児童約300人を階段で建物屋上へ誘導した。

 企画したのは、大経大防災協議会の学生たち。代表を務める経済学部3年の丹生(たんせい)千晴さんは、避難訓練に向けて小学校の先生と打ち合わせしたり、登下校の子どもたちとあいさつするようになった。「人とつながる楽しさが分かってきた。地元の人らの役に立てればうれしい」と手応えを口にする。

 キャンパスでは、12月2日に防災イベント「OSAKA 5 GO!WALK」(東淀川区役所共催)があり、防災協議会は防災グッズをテーマにしたワークショップを開く。丹生さんは「防災や健康について考えるきっかけになるので、多くの人に来場してほしい」とアピール。新たな人とのつながりを期待する。