居場所をつくろう 共生の現場から

第6部 学校(下) 来年10周年、府高齢者大学校

2017年12月1日

役立ちたい思い

「高大祭」で落語や絵画など学びの成果を発表する受講生(コラージュ)

 ♪若さ紡げと集いし仲間…元気なシニアの手本示そう−。年に一度の“大学祭”「高大祭」の開会式で、大阪府高齢者大学校(大阪市中央区)の受講生らが校歌を歌い上げた。大阪市中央公会堂の全フロアを貸し切り、50歳前後から90代まで、元気なシニアが学習の成果を発表。どの会場も超満員のにぎわいで、活気に満ちた。

■自主的に学ぶ

 市民がほぼ自力で立ち上げた、生涯学習機関である同大学校。歴史やパソコン、語学、絵画、落語など多岐にわたる67講座を開講し、2700人を超える受講生がいる。

 「新しい刺激をもらえて楽しい。もう1年“留年”しようかな」。ハハハと笑う男性(73)=東大阪市=は、中国語や日本史、6年目の今年は法律を学んでいる。今年から俳句などを学ぶ女性(78)=大阪市阿倍野区=は「仲間ができてうれしい。来年も通いたい」と、同期生の女性(75)=同住吉区=と仲良く高大祭に訪れていた。

 1年サイクルだが、留年する人(=リピーター)は3分の2もいるという。来年度の受講生は12月8日まで受け付けており、4月開校で年間42日学ぶ。遠足や修学旅行、クラブ活動などもある。

■社会参加活動

 シニア向けの学習機関は全国に多数あるが、同大学校の大きな特徴は、学習したことを社会に還元できる仕組みを持つことだ。カリキュラムに社会参加活動も盛り込み、子ども向けのワークショップなど地域活動も“学習”する。

 修了後、学んだ知識や経験を存分に生かせるよう支援する「相談部」も設置。また、同窓生で社会貢献活動を続ける団体に助成金を支給したり、1年以上社会参加・貢献している受講生や修了生を顕彰する「KOUDAI AWARD」を実施するなど、ボランティア活動が活発化する体制を整えている。

 「社会」に開かれた「学びの場」として、「人=シニア」にさまざまなプログラムを提供し、シニアは学習意欲を満たし、その成果を社会で生かす。

 「人」「学びの場」「社会」の3者が相関関係を持ち合うことを「トライアングル・ニーズ」という造語で示し、「このやり方を日本中に普及させることによって日本が活性化される。それがわれわれの使命だと思っている」と和田征士理事長(75)は見据える。

■シニアの底力

 役員はじめスタッフは皆ボランティア。同大学校の修了生でもあり、和田理事長も民間企業を定年退職後、2期生として考古学を学んだ。

 「友達には(無給で忙しくしていることを)アホとちゃうかと言われることもあるが、社会のために何か役に立ちたいという思いがバックボーンにあるから、まったく苦痛にならない」と達観した表情を見せる。

 今年9月には、大阪市から「認定NPO法人」に認証された。姉妹校も13に増え、10周年を迎える来年は、これまでの活動を礎にさらに全国にも目を向け、シニアによる日本全体の活性化を目指す。和田理事長を筆頭に、元気なシニア軍団の力は強力である。

 ※企画「居場所をつくろう共生の現場から」は第6部で終わります。