記者が選ぶ なにわこの1年

 2017年もさまざまな出来事が大阪を駆け巡った。政治から経済、スポーツに至るまで各界で印象に残ったニュースが数多くある。それぞれの話題を追った担当記者が、改めてニュースと共にこの1年を振り返る。

(3)大規模災害対策

2017年12月23日
津波の襲来を想定し市営住宅の上階へ避難する訓練参加者=11月5日、大阪市此花区

 近年、目立った自然災害の被害がなかった大阪だが、今秋、猛威を振るった超大型の台風21号は列島の各地と同様に大きな爪痕を残した。10月22日に大阪に接近すると、土砂崩れや道路冠水などを伴う被害をもたらし、府内でも犠牲者が発生した。

 交通機関にも被害があり、南海電鉄本線の線路がゆがみ、一部駅間が不通。単線で10日ぶりに運転が再開したが乗客の足に影響を及ぼした。

 観光面では、府内きっての紅葉名所・箕面公園で倒木や土砂崩れが発生し、紅葉シーズンを直撃。現在も阪急箕面駅から大滝へ続く滝道が寸断され、復旧工事が続いている。

 くしくも台風襲来の同22日は第48回衆院選の投票日。事前に接近が予測されていたため、期日前投票の大幅増もニュースに。府外の一部自治体では、台風の影響で当日の開票作業が不可能となり、思わぬ余波が今後の課題となった。

■不測の事態

 震災に目をやると、近い将来に南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、今のところ大きな揺れが起こることもなく、平穏に年が暮れようとしている。阪神淡路大震災以後、自主防災力の強化、防災意識の向上が叫ばれて久しく、大阪市内各地域では今年も不測の事態に備えようと、海溝型・直下型の地震を想定した各種訓練が行われてきた。

 同市湾岸5区(此花・港・大正・西淀川・住之江)は、「津波防災の日」(11月5日)に初の一斉津波対応訓練を実施。各区の特性に応じた訓練内容を展開して、課題の抽出に尽力した。

■課題を生かす

 避難ビルが区内で偏在している此花区では、住民が直近の市営住宅など高層階建物へ移動しなければならない。訓練には実情も盛り込んだ。参加者は停電を想定して階段で3階の共用部分(廊下)に避難。1人に与えられたスペースは、わずか新聞紙4ページ分という現実も直視した。

 海抜が低い区域は津波到達後も海水が残り、地上に降りられる時期が予測できないケースもあるため、避難中に必要な携行品と数量についても考察。受け入れ側の住民ともシビアな意見を交わすなど、訓練を通じて個人の危機管理意識の向上に努めた。

犠牲から得た教訓生かす
 未曽有の大災害といわれた阪神淡路大震災から間もなく23年。災害が広域で同時発生し、公助が限界となった状況で自助・共助の人的パワーをもって多くの命が救われたことが、ひときわ注目された。
 防災のみならず、防犯などでも地域の結束が不可欠であることは明らか。地域ごとの温度差など旧来の課題は山積しているのも事実だが、多大な犠牲と引き替えに得た教訓を生かせるまちづくりに期待したい。