記者が選ぶ なにわこの1年

 2017年もさまざまな出来事が大阪を駆け巡った。政治から経済、スポーツに至るまで各界で印象に残ったニュースが数多くある。それぞれの話題を追った担当記者が、改めてニュースと共にこの1年を振り返る。

(6)ハルカス3周年

2017年12月26日
開業3周年を迎えたあべのハルカス。手前は芝生化された阪堺電車上町線の軌道敷=大阪市阿倍野区

 地上300メートル。日本一高いビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)が3月7日、開業3周年を迎えた。依然好調なインバウンド(訪日外国人客)の下支えで、9月には早くも累計入場者が700万人を突破。勢いを持続している。一方、足元の阿倍野地区は約40年に及ぶ再開発事業が2017年度に完了する。大阪市による報告書では、最終的な事業収支が約2千億円の赤字となる見込みが示された。

■お得な“3”

 「あべのハルカス」は14年に開業。近鉄不動産が運営し、低層階に近鉄百貨店をはじめ、レストラン街や美術館、中層階はオフィスフロア、38階以上の高層階にホテルと展望台が入る。

 3周年式典では、展望台に日本最多の個数という、33万3333個の桜色のボールを敷き詰めた130平方メートルのボールプールがお目見え。さらに、3人組アーティストによる3周年お祝いソング、33歳のタレントをゲストに迎えるなど、「3」をアピール。この姿勢は年間を通してさまざまなサービスやイベントで徹底され、話題を提供した。

 代表的なサービスが毎月3、13、23日の“3”の付く日の午後3時から、館内施設で使えるクーポン券を模型バズーカ砲で放つ「ハルカス3クスバズーカ」(来年2月頃まで実施)。6月には「毎日が3デー」として、毎日「3」にまつわるサービスを提供するなど、趣向を凝らしたサービスは、お得で楽しいこと好きな大阪人の心をつかんだ。

■赤字2千億円

 ハルカスからあべの筋を挟んだJR天王寺駅南西部エリアの「阿倍野再開発事業」は、ついに本年度に完了する。西日本最大の再開発事業として1976年に大阪市が着手して以降、権利者との合意形成の難航やバブル崩壊と、その後の不況による社会情勢の変化で、大幅な計画の見直しがなされてきた。

 2月に市がまとめた報告書で示されたのは、赤字が約2千億円の事業収支見込み。今後、市は一般会計から32年度までかけて穴埋めすることになった。

 天王寺・阿倍野は梅田、難波に次ぐ大阪第三の繁華街。再開発を終え、その真価が問われる。

再開発に時の経過実感
 ○…学生時代、天王寺・阿倍野エリアは通い慣れた街だった。薄暗いあべの銀座商店街、鉄柵に囲まれた荒れた空き地…。跡形もなくなった風景を必死に思い浮かべる。あれから20年だ。
 依然、客足が順調なあべのハルカス。再開発事業の核だったキューズタウンは平日もにぎわう。
 負の側面ばかりクローズアップされてきた阿倍野再開発事業も完了が間近。きれいに整えられた街並みに時の経過を感じている。