浅野秀弥の未来創案

【夢洲カジノの裏側】

2017年1月19日

結局ツケは府民に

 大阪府が大阪港沖の夢洲に誘致を目指す2025年万博だが、正月の松井府知事が出演して話すテレビ番組のバブリーな内容を聞いていると、「この人は東京の築地市場の豊洲移転問題の土壌汚染状況の本質が分かっていないな。シンガポールやマカオの“カジノバブル”崩壊の悲惨さからもわざと目をそらしているな」とよく理解できた。

 25年万博のコンセプトは“健康と長寿”だが、夢洲の現状を直視すればブラックジョークのような話だ。そもそも産業廃棄物と原発処理ごみを放置した夢洲の土壌改良をどうする気なのだろう。豊洲のようにいいかげんな処理では、健康と長寿どころではない。

 カジノの現状は、一時「ラスベガスをしのぐ」と豪語したマカオなど新興地で、中国人富裕層の客足が遠のくと共に売り上げが急降下。米ニュージャージー州アトランティック市では、カジノの倒産閉鎖が相次ぎ、地域のお荷物に。第一、パチンコ産業ですら最盛時の半分程度まで落ち込んでいる日本で、カジノに足を向ける人が多いとは思えない。

 知事は「総事業費3千億円で大きな効果」をうたっているが、読者の皆さんは20年東京五輪が当初7千億円とコンパクトなはずの予算がどんどん膨らみ、今や2〜3兆円といわれ、負担割り当ての泥仕合を知っている。

 現状はお隣の野球場などがある舞洲から橋が1本だけ、俗に南港と呼ぶ咲洲から海底を通る夢咲トンネルの輸送力も微々たるもの。既存ターミナルから離れ過ぎて仮に市営地下鉄を延伸しても全体の輸送力はたかが知れている。とても万博会場への来場者を運び切れないし、海上輸送力を駆使しても関西空港と同様「海が荒れたら即アウト」になりかねない。これらを克服するだけの橋や道路を整備すれば、東京五輪と同じく「こんなはずではなかった」費用が飛び去っていく。

 松井知事は自身の利権に目がくらみ大阪の持つ良さや特性をまったく理解していない。かつてアジアの中心拠点として活性化し、新たな発想を想起し、人の育成を重んじ官民一体となり真の成長戦略を思考し経済を発展させ活力を生んでいた昭和の大(だい)大阪。そんな時代が懐かしい。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。