浅野秀弥の未来創案

【行政調査と犯罪捜査】

2017年4月13日

権力側の真の狙い

 元総務省顧問でコンプライアンス室長を務めた検事出身の郷原信郎弁護士が、森友学園問題で必死に籠池泰典元理事長を刑事告発しようとする政府与党と松井一郎府知事に対し、それぞれの視点から異論を唱えている。お断りしておくが、郷原氏も私も籠池氏の支持者ではない。しかし、自分たちの都合が悪くなると手のひらを返し当事者を塀の中に蹴り落として、事態の幕引きを図ろうとする行為のうさんくささを見逃すわけにはいかない。

 その指摘では、先の籠池氏の国会証人喚問に対し政府自民党が「偽証罪で告発だ」とする根拠は、不正な書類作成に基づく補助金受給に対する「補助金適正化法違反」と、安倍昭恵夫人からとした100万円寄付を巡る虚偽発言などに基づく「偽証罪」だ。偽証については「明らかにウソ」との立証は困難。さらに補助金不正受給も既に全額返済され、犯意立証ができず立件は難しいとみる。

 さらに松井知事に対し、当初から「府が行政調査権を行使し、違法性が明らかになれば刑事告発」という流れを疑問視している。そもそも「偽計業務妨害」と「私文書偽造」という犯罪立証のために行政調査を行うこと自体がおかしい。行政調査はあくまで内容吟味のためで、その結果として「これでは行政に与えられた行政処分だけでは公平性を保てない」と判断した場合のみ捜査機関に告発できる。

 最初から捜査機関への告発が目的で立ち入り検査することは、拒否に対する罰則があることを併せて考えると、令状なし捜索や黙秘権侵害による聴取を行政が行うことになる。こうしたことを理解しないまま最初から結論ありきで、行政権限を振るおうとする松井知事の動きは、まったく法律的に素人同然の態度といえる。

 菅義偉官房長官と松井知事の態度は、この問題で相通じる物がある。どちらも親分は、安倍晋三総理。国有地格安払い下げの本丸はうやむやのまま、安倍総理が「私や妻が関与していれば総理大臣どころか国会議員も辞める」と勝手に言い放ったことで事態が大きくなった。本論がどこかに置き忘れられ、権力側が籠池氏を塀の中に落として幕引きを図るのを黙視してよいのだろうか?

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。