浅野秀弥の未来創案

【安倍強権政治の源流】

2017年5月18日

小選挙区制で党と議会支配

 米国ではトランプ大統領が次々繰り出す、前任者オバマの施策を覆す大統領令が連邦裁判所によって無効とされ、行政機能がまひ同然に陥っている。三権分立が有効に機能している健全な国家であることが証明された。

 フランスと韓国で相次いで大統領選が行われた。両国は日本や英国と違い国民が直接行政府のトップを選ぶから同列に論じることはできない。韓国は単純に立候補者の得票数トップが勝者となるが、フランスでは得票過半数に達しない場合、上位2人による決選投票が行われ初めて勝者が決まる。極右政党「国民党」が政党支持率ではトップにありながら、大統領や国会議員の選挙で勝利できないのは、決選投票で二者択一に迫られた際に、改めて同党に1票を投じることを嫌う有権者が多いからだ。多くの流血のフランス革命を経て民主化を得たフランスなりの姿だ。

 我が国はどうか? 2014年末の総選挙小選挙区で自民党得票は48%(2547万票)なのに議席数は全体の76%(223議席)。投票率も低く、有権者全体数から見ると4分の1の得票にしかならない。単純小選挙区では多党化するほど自民党は有利に。民意を反映していない数字の上に、安倍政権は君臨している。

 それなのに内閣は反省も自覚もなく、森友学園問題での強弁と事実隠蔽(いんぺい)。相次ぐ閣僚や要人の放言や不祥事にも、本人辞任と形だけの遺憾表明で片付ける姿は、選挙制度恩恵に浴した巨大与党体制を傘に着たごう慢な国会運営そのものだ。

 確かに野党もだらしない。過半数以下再投票の規定がないわが国では、立候補段階で野党候補者を絞り込んで与党と対決の姿勢を有権者に示さないと、足の引っ張り合いとなり結局与党を利することになる。

 安倍政権は二つの点で安泰をかこっている。まず、公認権を振りかざし細田派など主流派による党内独裁、そして小選挙区で野党多党化分裂による一党独裁体制だ。内外の守りをがっちり固める政権に対し野党がまず取るべき戦略戦術は、SNSなどで「安倍政権打倒」など同じ方向を向いている政党は小異を捨てて大同団結を重んじる道であることを、あらためて肝に銘じてほしい。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。