浅野秀弥の未来創案

【住吉市民病院問題】

2017年6月1日

宙に浮いた後継病院の責任は?

 松井一郎大阪府知事と橋下徹前大阪市長が「二重行政のムダの象徴」と言いたい放題だった住吉市民病院の民間移管問題は、手を上げていた南港病院が計画撤回し、地域医療の中核としての地位は失いそうだ。

 維新の会は政党としてのグランドデザインがなく、将来像についてまるで無計画かつ無責任な面がむき出しになっている。南港病院誘致も松井知事が計画し結果的にさらなる混乱を招くことになった。府立病院が横取りした形の100ベッドをまず計画地に返し、民間病院としての利益を確保しながら、福祉的意義を持っての病院経営を行うことが求められる。それには厚労省の規制緩和処置が必要になる。

 私が思う大阪市が取り組むべき喫緊の課題は、これまで住吉市民病院が積極的に取り組んできた貧困者妊婦や若年出産の「新生児貧困問題」だ。論点をまずこの問題の解決に向けて集中させるべきで、市民病院再建もこの枠内で再考されるべきだと考える。

 計画をいったん白紙にし、市民と地域の目線による条件を付け、患者が求める入院用ベッドがキチンと備わった機能充実した病院がいる。そのためにはベッド数を100も減らされ、市補助金がなければ成り立たない小児科と婦人科では、民間病院にとって何のメリットもない。問題を抱える人たちを救済する病院の存在を維新の会はつぶす気なのだろうか? 「住民のため」をつねづね掲げていた維新の会がこの問題を手をこまねいて放置することは許されない。

 維新の会は、国政では改憲問題を巡って安倍総理と蜜月。共謀罪も修正の茶番で、今や“隠れ与党”と化している。森友問題は、「安倍総理と変わり身の早さを競ったのか?」と皮肉りたいほど、一時の蜜月状態から一転して冷遇している。

 地方行政の一環である住吉市民病院問題は、元はと言えば、言い出しっぺは橋下前市長。目先の判断だけで、病院をつぶしておいて今更知らないとは言わせない。大阪府民も「自民党には入れたくない。さりとて民進や共産には拒否感あり。結局、維新しかない」という消去法的発想で維新の会に長らく1票を投じてきた結果責任を問われている。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。