浅野秀弥の未来創案

【大阪市の新区割り案】

2017年7月27日

いつも小手先でごまかす

 吉村大阪市長は、区長会議で「大阪都構想」実現に向け、現行24区を4または6の特別区に再編する案を提示した。大規模繁華街の分散とか税制均衡化とかもっともらしいことを言っているが、要は一昨年春の住民投票で5特別区への再編を掲げ否決されたため、「5ではダメだから、4か6」にしただけ。

 都構想の維新と大阪市を残す総合区案の公明が主導する現在の法定協議会は、ショッキングな大阪市廃止イメージを和らげ、「総合区もあり得ますよ」とごまかしている。

 松井知事と吉村市長は、住民投票半年後のダブル選で当選するや「都構想再挑戦を掲げた主張が認められた」と勝手に民意をすり替え、住民投票敗北をなかったことにして再び都構想を問うとは鉄面皮にもほどがある。

 公明は国政では自民と長く連立を維持しているが、大阪だけでなく愛知や東京をみても「国政の枠組みより、地方でも与党に」という思惑だ。与党のうま味を知り尽くした立場で、知事にすり寄るのは勝手だが、伝統ある大阪市をなくせば二度と戻せない事実を多くの有権者はまだ理解できていない。

 東京都があれだけ知事に権力集中しているのは、政令都市がないからだ。戦時体制下で強権的につぶされた東京市が残っていれば状況はまったく違っていた。公明は府市政運営の中で首長と仲良くやりたい一心で、自分たちがいかに無謀な計画に手を貸しているのか、はっきりと支持組織の創価学会員に示す責任がある。それとも将来、廃止原因を問われ「アレは維新がやったこと」と共犯者の立場を忘れ知らん顔するつもりだろうか? 新区割り案など何の意味もない。維新は大阪市さえなくなれば区がいくつでも構いはしない。

 いったん大阪市が消えたら、以後は堺市や東大阪市、豊中市など隣接する自治体は、改めて住民投票の必要なく首長提案による議会同意だけで特別区に衣替えできる。9月の堺市長選に向け維新が都構想実現をあえて持ち出さず沈黙するのは、計算ずくなのだ。こうなったら大阪市民は、2回目住民投票にあきれて棄権せず、自らの意志を再び示すしかない。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。