浅野秀弥の未来創案

【夢洲の危険性を考える】

2017年12月7日

導線少なく津波も無防備

 2025年大阪万博会場予定地の夢洲は、現在野球場やキャンプ場のある舞洲の南側、WTCやコスモスクエアのある咲洲の西側に位置し、コンテナターミナルがあるだけの大阪湾上の埋め立て地。

 仮に咲洲からの鉄道を大阪市が自前で通すなら、地下鉄中央線コスモスクエア駅から延伸するしかない。これだけで600億円掛かる。しかしそれでも輸送力に限りがあり、USJの先にあるJR桜島線桜島駅から舞洲へいったん振って夢洲に乗り入れるルート(1700億円)と、京阪中之島線の中之島駅からほぼJRと並行し夢洲に行く(3500億円)とする2線延伸プランも浮上。JR桜島線と京阪中之島線はどちらも現在は行き止まり。今後の利用客増加が見込めず、延伸では補助金も見込めず、自前で費用捻出させようというもくろみだ。

 自動車や人が通れる夢洲―咲洲間の夢咲トンネルは現在1本だけ。大阪五輪招致時に整備したものでここに地下鉄を通す。舞洲―夢洲間にも鉄道2線が走る橋もしくは地下トンネルがいる。その経費もこれから出てくるが、自動車や人が通る橋やトンネルもさらに数本必要で、出費はかなり膨大となる。

 愛知万博は会長が豊田章一郎氏でトヨタが財界への影響力も強く、無償で駐車場などを提供しバックアップした。大阪府と大阪市だけでは、こうした旗振り役が見当たらないから、このままでは大赤字に陥る。私は万博をはじめとした大きなイベントを幾つもプロデューサーとして手がけたので、採算面の難しさはよく知っている。

 最も心配なのは、南海地震が襲来したときの地震による津波対策だ。通常期間限定のイベントには仮設でパビリオンを建てるが、建物は耐震構造にできても、津波は人工島の防波堤をいとも簡単に越え襲ってくる。そんなときに、橋やトンネルでつないだだけの人工島で、地震直後の十分な避難路が入場者に確保できるのだろうか? そう考えると、大阪市の“負の遺産”とされる埋め立て人工島が、これまで有効活用できなかった理由が見えてくる。

 次回は、万博会場を他に求められなかったのかを考えてみよう。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。