浅野秀弥の未来創案

【「なぜ夢洲なのか」を考える】

2017年12月14日

万博利用しIR推進

 前回に続いて、2025年大阪万博会場予定地の夢洲を考察してみる。何度も書くが、大阪市が作った三つの人工島のうち、現在一番知られているのは南港と呼ばれる咲洲だ。ここには市営新交通ニュートラムが走り、開設当時は未来都市としての将来が期待されたが、実際は沿線の団地以外は、コンテナヤードや倉庫群で期待通りの発展は遂げていない。現在野球場やキャンプ場のある舞洲は08年大阪五輪開催が幻に終わり、スポーツセンターとして野球場やキャンプ場が整備されたが“陸の孤島”ならぬ“海の孤島”で足回りは最悪。実態は、ごみや汚泥の処理場として使われている。

 最も遠い夢洲は、現在はコンテナターミナルがあるだけで、ここを一気に片付けるために行政側は財界と組んで、IR(統合型リゾート)構想を打ち出した。IRといえば聞こえはいいが、実態は日本初のカジノを中心とした娯楽施設。ギャンブル依存症対策の遅れなどで住民の反発は強く、目先に「25年大阪万博」を打ち出すことで隠れみのとして使い、ちゃっかりその前に露払いのような格好で23年IRを先行開業させようというのだから、実に巧みな戦略だ。

 大阪には1970年万博跡地の公園(吹田市)をはじめ、90年花の万博の記念公園(鶴見緑地)など適当な場所はたくさんある。大阪城周辺や関西空港の前島だって土地はたくさん余っている。それをあくまで夢洲にこだわるのは、そこにIRが生まれることで、現在の府知事と大阪市長を頂点とする大阪維新とその周辺に、大きな開発利権がもたらされる結果になる。

 知事は二言目には、「しがらみのない政治」とか「大阪の発展振興」「税金の無駄遣いをなくす」というが、実態はこれまで自民党を中心に形成されていた利権構造を、自分たちに付け替えたい思惑なのだ。夢洲をカジノとして開発するのに市や府が多額の金を投じるのは住民感情から適切でないので、万博誘致を“臭い消し”に使っているに過ぎない。そう考えるとすべての計画で、裏側のつじつまがすべて合い透けて見えてくるから不思議だ。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。