浅野秀弥の未来創案

【日米株価好調の裏は?】

2018年1月4日

それぞれ危うい両国トップ

 昨年まで、安倍一強政権のもとで5度の国政選挙がすべて勝利したのは、アベノミクスでいかにも日本経済は成長しているかに見せかけたおかげだ。内実は安倍政権と黒田日銀総裁、その手先のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が組んだ裏構造にある。大企業は株価高騰や法人減税で内部留保をどんどん増やしているが、景気の先行き不安と物を言う株主からの重圧で、社員には賃上げとしてちっとも還元されていない。

 経済界は、そんな事は百も承知だ。仮に安倍政権が倒れたら、黒田総裁は即退陣、GPIFも大量株式購入はできなくなり、官製相場の株価は急落する。その構造を理解しているから、国債をジャブジャブ刷って結果的に日銀が購入する“安倍バブル”がいずれ弾ける事が分かっていても、怖くて幕引きに手を貸す訳にはいかない。

 トランプ米大統領も35%前後の支持率が続き、長期低落でも政権が維持できているのは株価好調で好況を維持しているからだ。それでも昨年末の法人と個人すべてに対する史上最大の減税案は、なりふり構わない人気取り策にほかならない。それでもダメなら、後は北朝鮮と一戦交えてブッシュ・ジュニア大統領の時に成功した『戦争による国威発揚』しか手がないから、暗たんたる気分になる。

 一方欧州に目を移すと、EUのリーダーであるドイツのメルケル首相が少数与党で組閣に立ち往生し、今年ついに再選挙になりそうだ。英国のEU離脱作業の加速、スペインのカタルーニャ独立問題と欧州一体の大原則は既に風前のともしびだ。

 小手先でごまかして、問題を先送りし必死に好況を演出してきた日本を含む西側の自由経済圏各国が、一皮むけば砂上に楼閣を築いていたことが次第にはっきりしてきた。今、国際関係で安倍総理は交渉力や存在感で信用性を増している。これだけ不安定な状況が続く自由経済圏で、唯一と言ってよいほど政権が安定している国の宰相だからだ。しかしその状況を作り出すために、実は手を付けなければいけない根本的なわが国の構造改革をこっそり先送りしている大きな落とし穴を、どれだけの方が理解しているだろうか?