浅野秀弥の未来創案

【2万3千円株価は本物?】

2018年1月11日

進むも地獄、引くも地獄

 安倍政権が電撃的に解散総選挙を行い勝利した直後から株価が異常な上昇基調を一本調子で見せている。4日の東証大発会では、日経平均が前年末比741円39銭高の2万3506円33銭を付けた。26年ぶりの2万3千円台回復で、大発会比較では金融危機前年の1996年以来22年以来の大きな上げ幅で、記録ずくめの滑り出し。

 12月にシャープが東証1部復帰したが、米原発子会社に足を引っ張られた東芝の低迷、日産が無資格従業員の完成検査実施、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レは製品データ改ざんが明るみに出るなど大企業のマイナス要因が飛び交う中、株価だけが関係なく熱狂を演じ続けている。

 8%への消費増税以降、少子高齢化の加速もあり個人消費は落ち込みっぱなし。国内消費回復のきざしすらないのに、株価が経済実態とかけ離れた動きを見せ、賢明な投資家は徐々に警戒感を強めている。一連の株高の主要因は「異次元の金融緩和」を続ける黒田日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)であり、原資はすべて国民の資産だ。この出口戦略なき日銀の量的緩和により、市場に垂れ流されたマネーに投機集団が群がり、官製相場に守られつかの間のバブルに踊っているのが実態だ。

 はじけ飛ぶのはほぼ時間の問題。米中の経済が少しでも下ブレしたり、投資家の思惑で円高が再燃すれば、リーマン・ショックどころではない金融崩壊が危惧される。

 昨年6月、金融機関からの大量の国債や株式、J―REIT(不動産投資信託)の買い入れにより、日銀資産総額が500兆8008億円に達した。これはGDP(国内総生産)に匹敵する巨大規模であり、しかも国の借金を肩代わりした国債が427兆2495億円と全体の85%を占めるいびつな構造だ。

 目前の株価維持のため市場介入を突き進んだ黒田日銀総裁は4月に任期切れ。しかし安倍政権の下では、進むも地獄引くも地獄の袋小路状態で出口戦略はまったく見えず、バブルがはじけるまで膨大な借金を丸抱えし続ける以外手だてはないのだから恐ろしい。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。