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「絵と言葉と音楽を一つにした、何か新しい仕事をしてみたい」
子供のころ、そんな思いを母に打ち明けたことがありました。美術も国語も音楽も、どの科目も決して褒められた成績ではなかった子供時代ではありましたが、ヘタな漫画や小説を、お気に入りのレコードをかけながら部屋に籠(こ)もり、友達とも遊ばず一人ひたすら紙の上に生み出すことは、私にとってなくてはならない心躍る大切な時間でした。
普段から口数の少ない、まったく明るい性格ではないそんな自分の娘が、何だかよく分からないけど自己主張のようなことをしている様子が母は嬉(うれ)しかったのかもしれません。意味不明な発言を否定することもなく、ただ「面白そうやん」とだけ返答してくれたことを今でも覚えています。「マンガーソングライター」という私の肩書は、母のこの一言から生まれたのだと今でも思っています。
ここであらためて「マンガーソングライター」について詳(つまび)らかにご説明をさせていただくことにします。「マンガーソングライター」とは、自作の漫画紙芝居、そして自作の歌をウクレレ演奏で披露する芸人のことです(といっても、そんな肩書を持つ人は私のほかに誰もいません)。代表作の「折り紙戦士ヤッコマン!」を演じる際には、紙でできたヤッコマンのヘッドセットなるものを頭に巻き、紙芝居を進め、テーマソングを歌います。
さらに女の折り紙戦士である「レイディーヤッコ」、大阪出身の「なにわの折り紙やっこはん」なども登場し、ヘッドセットも各キャラクターごとにいちいち着け替えるという忙しいシステムになっております。こういった芸を公衆の面前で堂々と、普段は1人で演じているのですが、ヤッコマンは折り紙戦士というヒーローです。テーマソングを「男声」にすると、迫力が増して舞台が盛り上がるので、時には男性の友人の協力が必要になることもあります。
人間、お酒に酔っていい気分になると何でも安請け合いしてしまうものなのか、宴席にて友人に「君もヘッドセットを着けて歌ってみないか」と持ち掛けると、かなりの高い確率で「やるやるっ!」との承諾を得ることが可能です。
しかし、夜が明け正常な判断力を取り戻すと大抵の友人は、引き受けた手前、一度は舞台に立ち約束通りにヘッドセットを装着して正義のヒーローヤッコマンとして熱唱してはくれるものの、二度と再びその体験を口にすることはありません。こうしてたくさんの男たちが私のもとから去っていきました。いかに私の芸が強靭(きょうじん)な精神力を必要とするものであるか、ということを表しているエピソードです。
このように、数々の苦難を乗り越えて、マンガーソングライターは日々逞(たくま)しく成長し続けております。あの日の一言のおかげでおとなしかったあなたの娘はこんなにも変貌(へんぼう)を遂げましたと、先日あらためて感謝の気持ちを母に伝えたところ、対する返事は「そんなこと言ったやろか」でした。
(ほんまち・うつぼ 兵庫県西宮市)










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