連載・特集

澪標 ―みおつくし―

話題の2冊を読む

面屋龍延
大阪府書店 商業組合理事長
2009年11月6日

 『ミシュランガイド京都・大阪2010』(日本ミシュランタイヤ 09・10・23 本体2300円)

 『福田君を殺して何になる−光市母子殺害事件の陥穽(かんせい)』(増田美智子 インシデンツ 09・10・1 本体1500円)

 前者、これは皆さまよくご存じであると思われる。2007年に東京版が発行されて爆発的に売れ一躍有名になった。それの京都・大阪版である。

 1900年にフランスでドライバー(当時は3500人程度)に無料で発行されたドライブに関する案内書であった。それが20年よりホテル・レストランの情報に特化されてきたようだ。現在ヨーロッパ20カ国、アメリカ2冊、香港・マカオ1冊、日本2冊。

 余談だが江戸時代の蔦屋書店は吉原のガイドブックで当てたと読んだことがある。

 中をのぞいて見ると、吉兆の大丸心斎橋、堀江の2店が紹介されている。まあしかし、われわれ大体日ごろお初天神あたりをウロウロしている輩(やから)にはあまり縁がない。それでも店選びは安くて、板前さんでなくてもママの家庭料理の所を探して通っているが。チェーン系の居酒屋は若い人にまかせて。

 後者はあの光市母子殺害事件の加害者実名、写真入りの書物で、弁護団が発売差し止め請求をしたものである。

 事件があったのは99年4月14日、加害者は当時18歳。山口地裁で公判中の同年8月26日「週刊新潮」(9/2号)に被告実名入りの被害者の夫・本村洋さんの手記が出た。

 その後一、二審で無期、最高裁差し戻し、2008年4月22日広島高裁で死刑の判決。現在最高裁。

 私は本書の発刊の動機に触発されて本事件に関心を抱いた。読了した後、少し調べてみた。橋下徹現大阪府知事もかかわっているのはこの事件であったのだ。橋下弁護士のテレビでの「弁護団懲戒請求」発言は07年5月。賛同者が3900人も出たそうだ。

 私なりに整理してみた。

 (1)「司法に絶望した。早く被告を社会に出してほしい。私がこの手で殺す」(一審無期懲役判決後の本村さんの発言。2000年3月22日)にみられる怒りのやり場のない凄惨(せいさん)な事件。

 (2)「バカ息子のために家族を犠牲にできない」という被告の父親。事件前の家庭は父の家庭内暴力で母と本人は殴られ続け、ついに母は自殺。

 (3)謝罪の意志のない「不謹慎な手紙」(被告が友達Aに送ったもの)が「週刊新潮」(02年3月14日)に載った。これが二審で証拠採用される。

 (4)、(3)がなければ少年事件である本件の死刑判決はないといわれていた。

 (5)弁護団の「死刑廃止論か徹底謝罪か」での論争。

 (6)先の橋下弁護士発言での弁護団からの損害賠償請求裁判。

 本書が出るまでに関係書は7冊出版され、映画にもなっている。

 街の本屋としては初回の入手に苦労した2冊であった。

 (おもや・りゅうえん 大阪市北区)