連載・特集

澪標 ―みおつくし―

世代を超え育てる住まいづくり主流に

水谷賀一
LineWork(s)建築士事務所代表
2009年12月8日

 半年間担当させていただきましたコラムも、いよいよ今回が最終回となってしまいました。最後に、「これからの住まい」についてお話ししたいと思います。

 日本は戦後、他国に負けないあらゆる技術を身に付け、見事に復興し、高度成長を成し遂げ、先進国の仲間入りを果たしました。けれどそれは、がむしゃらに、何事も顧みずに行った結果だったと思います。だから、「地球環境にどう影響するのか?」、また「生活環境がどうなるのか?」など考える余裕もなく、ただただ走ってきた−というのが現実ではなかったでしょうか。その後、バブル期を経験し、モノの価値が分からなくなってしまったように思います。

 現在、「100年に1度の大不況」といわれる状況を迎え、政権も代わり、すべてにおいて、これまでの歴史を、冷静に見つめ直す時に来ているように感じます。

 そんな中で、住まいづくりも今、大変な過渡期を迎えています。

 前回、国が推し進める長期優良住宅「二百年住宅」について書かせていただきましたが、世代ごとに建て替えるといった不経済や、環境負荷の高い消耗品という住まいの価値観から脱し、世代を超えて住み、育てる住まいづくりが主流になろうとしています。

 住まいは、家族にとって最も高価な買い物なので、その負担をできるだけ低減できる方向で住まいづくりを計画し、効率よくつくる手段が必要になってきます。

 例えば、「イニシャルコスト」ばかり気にするのではなく、後々の光熱費や修繕費など、いわゆる「ランニングコスト」をできるだけ抑えるという考え方が重要です。

 そしてそれは、住まいだけでなく土地や税金についても同じことが言えます。「今はどういう時期なのか?」、「これからどうなっていくのか?」−そんなことを少し考えるだけで、結果は随分変わります。

 一方、住まいは「心を癒やす場」だと私は考えています。だから、やはり「ただの箱」であってはいけないと思います。

 例えば、周囲の風景をうまく取り込み、住環境を充実させることができたら、都会に住んでいても、存分に四季を感じることができます。わざわざ渋滞の中、遠方へ出掛けずとも、家でくつろぐだけで四季を楽しむこともできるのです。仕事で疲れて帰っても、その空間に癒やされ、「明日からまた頑張ろう」という気持にさせてくれます。

 私にできることは、住宅をただ設計するだけでなく、居るだけで癒やされ、次の世代、そのまた次の世代へと、愛されはぐくんでいただける住まいを提供することだと思っています。

 住まいづくりは未来に大きく関係することなので、その取り組みは非常に難しいことであり、かけたコストと効果の差も、それぞれ非常に異なるものです。

 それなのに、住まいづくりについて気軽に相談する場所がないのが現状です。だから、もし何か困ったことがあれば、お気軽に声をお掛けください。私にできるアドバイスをさせていただきます。

 最後まで読んでいただいた皆さんに感謝致します。ありがとうございました。

 (みずたに・よしかず 大阪府豊中市)