
歯科衛生士という職業があるのをご存じですか。
歯科医院に行ったとき、歯石を除去してくれたりブラッシング指導をしてくれたりする歯科の専門職です。歯科衛生士になるには、歯科衛生士養成校で3年間、歯科診療補助の知識や技術を学び、国家資格を取得しなければなりません。この資格がないと、患者さんのお口の中を触ることはできないのです。
2008(平成20)年現在の就業者数は、歯科医院勤務者が約8万7400人(約90%)。そのほかは病院勤務者、市町村の保健所勤務者で、多くの歯科衛生士は、約6万7千軒の歯科医院で働いています。しかし、大半の歯科診療所では、労働環境や雇用条件などの整備が行き届かず、大変離職率の高い職業です。
26万人のライセンス取得者がいるのに、3分の1しかその資格を活用していないのが実態なのです。診療スタッフが全員歯科衛生士という歯科医院もありますが、歯科衛生士が1人もいない、いても1人だけという歯科医院がほとんどです。年中、歯科衛生士を募集しているのですが、採用してもすぐに辞めてしまう状況です。
求人難と離職のもっとも大きな要因は、労働環境の不備とライセンスを持たない歯科助手を歯科衛生士の業務に介入させている雇用者の認識の甘さにあります。歯科衛生士は、せっかく取得したライセンスの意味を見失い、プロフェッショナルとして熟練するまでに、職業そのものが嫌になってしまうのでしょう。
私は、歯科衛生士の経験を生かして、歯科医院の開業コンサルタント、歯科スタッフの育成などに携わっていますが、歯科衛生士の地位向上、労働環境の改善のために何をなすべきかについて、常々、心を痛めています。
そのためには、読者のみなさんのお力をいただくのが一番かと思っています。通院先でスタッフがお口の中を触って、何かを治療した際に、ぜひ、「あなたは歯科衛生士の資格を持っていますか」と指摘していただければ、歯科医院の院長さんも、歯科衛生士という職業は意外と知られているんだと気づくはずです。
患者さんの声こそ、雇用者側のコンプライアンスを順守する意識改革につながり、きちんとした医療技術でもって治療を受けられる環境を整えることへの第一歩となります。
近年、お口の健康は全身の健康につながることが周知され、その専門職である歯科衛生士の活躍できる場が明確になってきました。特に歯周病の原因となる細菌を除去することで、糖尿病を予防したり、胃がんや心臓の病気を予防できることが解明されてきました。
生涯お口の健康管理ができる歯科衛生士の長期就労環境の整備は、なにより患者さんにとって有意義なことです。そのためには、多くの歯科医院で歯科衛生士が就労することと、歯科衛生士もそれに応えるべく、プロフェッショナルとしての自覚を持って技術を磨いてほしいものです。
(大阪府高石市)










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