連載・特集

澪標 ―みおつくし―

IT使い商店街活性化  

城谷 淳史
JEBPARK代表ウェブデザイナー
2010年9月21日

 今回は「デジタルデバイド(情報格差)をなくす」取り組みの一つとしての、「インターネットを活用した商店街の活性化」についてお話させていただきます。

 現在、大型複合施設の影響や、商品購入手段の多様化などにより、地域密着の商店街は衰退傾向にありますが、私たちは「IT」を活用した商店街の活性化を試みています。その一つが、大阪市阿倍野区の「あべの王子商店街」の「青空システム」です。大阪市立大学の大学院生が商店街に特化して構築したシステムで、ご縁があってプロジェクトに参加させていただいています。

 「ホームページ(HP)を作ったら人が来てくれるのか?」と言えば、答えは「NO!」です。では「何が必要なのか?」、それは「生きた情報」です。リアルタイムに情報を発信して初めて、お客さんを引きつけることができるのです。なぜなら、たとえネットショップであっても、顔が見えないというだけで、お客さんとのやりとりは店舗と同じだからです。やはり誠意ある対応が必要ですし、顔が見えない分、豊富な情報発信で誤解のないように細心の注意を払う必要があります。

 一方で、あべの王子商店街のHPでは、商品は買えません。「商店街に来てほしい」からです。売り上げを上げることはもちろん大事ですが、「商店街の活気を取り戻すこと」が大目標なので、インターネットを通じた取り組みでお客さんが増えることを実感してほしいのです。

 とはいえ、商店街ならではの課題もあります。例えば、スーパーには「店長」は1人ですが、商店街にはさまざまな店舗があり、その一つ一つがいわば店長であり、それぞれに「こだわり」があります。動画撮影などで店長に取材をすると、技術や商品に対する自信が伝わってきます。

 そんな魅力ある技術や商品を、新鮮な情報として発信するための場がHPなのですが、個々のこだわりを表現する一方で、予算的には余裕がなく、パソコン操作もみんなで習得する必要があるので、なかなか思うように進まないこともあります。

 そこで、「簡単なシステムさえあればなんとかできる」という考えから生まれたのが、先の「青空システム」です。このシステムでは、携帯からメールを送るように、お店の新しい情報をHP上に表示させることができるのです。操作が簡単な上、すべての店舗情報を一つのHPに集約させることで、コスト・技術両面の課題をクリアできました。

 ネットでの発信だけでなく、イベント時には法被を着てのチラシ配りや、掲示板へのチラシ張り出しなど、来る人に楽しんでもらうための努力もしています。

 「ネットでは人とのかかわりが生まれない」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。あべの王子商店街のように、「ネットを閲覧して、実際に出掛けたくなる」、「その人と会いたくなる」−そんなHPもあるのです。「人と出会う」きっかけとなるHPって、素晴らしいと思いませんか。

 よろしければぜひ一度、あべの王子商店街のHPを見て、実際に足を運んでもらえたらと思います。あべの王子商店街のアドレスは次の通り。

 http://ooji−mall.com/

 (じょうたに・あつし 大阪市北区)