澪標 ―みおつくし―

愛犬の食を育むこと

ドッグレシピプランナー協会代表理事
磯谷 いつ穂
2015年12月18日

 ドッグレシピプランナー協会では、犬の食事について正しい知識を普及する活動、および手作り食の知識習得と実践を行うための資格発行を行っています。

 なぜ、愛犬の食を育むことに携わろうと考えたのか。それはある経験からでした。

 動物好きの父を持った私は、幼いころから動物に囲まれて育ちました。中でも特に愛情表現がストレートで、いつもそばにいてくれる犬が私の一番大好きな動物でした。近所で仔(こ)犬が生まれたと聞くと断りもなく連れ帰り、よく叱られていたことを思い出します。

 地元を離れ大阪に出てからは、動物のいる暮らしとは疎遠になっていましたが、結婚を期に大好きだった犬を家族に迎えました。初めて自分で世話する仔犬に戸惑ったり、怒ったり、かわいくて仕方なかったり。

 1歳になったころ、ある病気にかかりました。耳をしきりに気にし始め、かゆがります。よく見ると耳の中が真っ赤になっていました。慌てて病院に連れていくと、外耳炎にかかっていると言われました。

 獣医師から解決策として、「フードを変えてください」と言われ、「えっ? 食事??」と、とても驚きました。フードを変えると症状は治まり、食物アレルギーの症状が外耳炎を引き起こしていることを知りました。

 この出来事をきっかけに食の大切さを実感し、食事について学び始めました。学んでいる過程で、犬にも手作り食が良いということを知りました。

 当時は今のように詳しく解説された本や、インターネット上の読み物もありませんでしたが、自分で食材を選び、安心で安全な食事を作ることができる手作り食に、とても興味を持ちました。

 食材の持つ力を知り、食の大切さを多くの愛犬家の方にお伝えしたいとブログを立ち上げ、手作り食の材料や作り方などレシピ掲載を始めました。

 今では、愛犬家や、犬の仕事に関わるプロからも手作り食について学びたいとご相談いただけるようになりました。

 食に関する情報や選択肢が増えることで、正しい愛犬の食を育むことをいま一度考える機会が訪れているのだと感じます。人間同様、食べ物から体がつくられているのは犬も同じです。

 医療の発達とともに寿命は長くなりましたが、認知症や寝たきりになった場合の世話など、より長く介護が必要になります。

 家庭でできる犬の健康管理として、食事は大いに役立ちます。健康で長生きしてほしいと願う気持ちを、形にできる方法が食事です。

 食事を選ぶことができるのは、飼い主だけなのです。

(大阪市中央区)