澪標 ―みおつくし―

人と犬の共生

磯谷 いつ穂
ドッグレシピプランナー協会代表理事   
2016年6月3日

 家族として一緒に暮らしている犬たち。昔から人と共に共生していた犬は、暮らしになくてはならない存在でした。狩りの手助けや、番犬など多くの役割を担っていました。現在でも羊をオオカミや肉食動物から守る牧羊犬、狩りの手助けを行う狩猟犬は、その名残と言えます。また、盲導犬や聴導犬、介護犬は生活の介助を行い、人体の一部といっても過言ではありません。

 家庭では、愛玩犬(愛玩とは大切にし、かわいがること。家庭で暮らす小型犬)から人生を共に生きる伴侶として位置付ける意味合いを込め、コンパニオンアニマルと呼ばれるようになりつつあります。ペットという感覚よりも「家族」の一員として暮らし、洋服を着用したり、旅行に行ったりします。コンパニオンアニマルという言葉が生まれた背景には、少子高齢化も深く関係しています。癒やしやストレスからの解放、暮らしを楽しむパートナーとして動物を選んでいるのです。

 ペットとしての位置付けが変わりつつある今、犬の躾(しつけ)やマナー、飼い主の責任が求められるようになります。他人に迷惑をかけない事は最低限のルールです。決して忘れてはなりません。

 室内で暮らしている犬は、全体の約8割とも言われています。現在、ペットブーム時代に飼われた犬の高齢化が進み、高齢犬が増加しています。その背景には、医学の進歩や動物病院に通う意識が高まっていることも挙げられます。それに伴い寿命が延び(平均寿命約14歳)、介護に携わることも多くなっています。今後はさらに犬の高齢化が進んでいくことになるでしょう。歳をとれば立ち上がれなくなったり、認知症を患ったり、さまざまな病気にかかります。高齢犬の介護知識を学ぶ必要性も高まっていくでしょう。

 犬には、一緒にいると癒やしやストレスの緩和、病気に打ち勝つ気力が湧くなど、たくさんの効果があると言われています。実際に病院や介護施設、児童施設などを訪問する〈セラピードッグ〉が活躍しています。〈セラピードッグ〉の多くが、愛護団体や保護施設から引き取られ、育成を受けています。犬の第二の人生をサポートし、医療の一環として活動しています。人間の体と心の機能回復を補助する目的から、「動物介在療法」とも言われています。

 日本はストレス社会であり、さらに高齢化が進む事を踏まえると、動物介在療法は大きな存在になるでしょう。求めるだけではなく、与えること。犬と人間が共生していく社会は、秩序を守り、お互いが幸せでなければいけないと信じます。

 (いそたに・いつほ、大阪市中央区)