澪標 ―みおつくし―

出逢いは己の羅針盤

中井 貫二
千房 専務取締役
2016年7月22日

 これまで生きてきて40年、本当に数多くの方々と出合い、そして支えられてきました。世界人口73億人の中で人と人とが出合えるのは天文学的確率と言えるでしょう。それは単なる“縁”という言葉で片付けられるものではなく“よっぽどの縁”と言わないといけません。私は社会人になって以来、お会いして名刺交換をさせていただいた方々には必ずお礼状を出すことにしています。その礼状には必ずこうつづっています。

 「頂戴しましたこの『ご縁』を大切に 引き続き精進してまいります」

 大阪商人らしく言えば出合っただけで“ボロもうけ”で、人とのご縁は自分にとっては何物にも変えられない財産となっていくのです。だから一人でも多くの方々との出合いを自ら創造していかなければならないし、出合ったあともしっかりとつなげていくことが大事だと思っています。

 当社は大阪を中心にお好み焼・鉄板焼のチェーン展開をしている会社ですが、当社の社訓は一般的な飲食店のそれとはまるで程遠いといえます。

 『出逢いは己の羅針盤 小さな心のふれあいに己を賭けよ そこから己の路が照らされる』

 創業者である父が、人とのつながりの大切さを従業員に伝えるために創業当時に作ったものです。

 この「出逢い」ですが、これは「出合い」とも「出会い」とも意味が違います。「出合い」は偶然、かつ瞬間的なもの。「出会い」はお互いが会いましょうと約束したもの。「出逢い」というのは「出合い」や「出会い」を経て「あなたに逢いたい」という人の想いが込められたものです。一つ一つの小さな「であい」を大切にすることで、それが「出逢い」に発展します。そしてその「出逢い」が自分自身を成長させ、己の歩む道を教えてくれる。そんな意味がこめられた社訓なのです。

 当社では創業当時から元受刑者の就労支援に取り組んでいます。また現在篤志面接委員を務めさせていただいていることもあり、服役中の受刑者と接する機会が多いのですが、それもまた“よっぽどの縁”だと思っています。塀の中で彼らと出合い、人生について話し、時にはいさめ、彼らの中に何かしらの気づきを与える。それと同時に、私もまた受刑者と接することで気づきをもらい、成長し、今後の就労支援活動につながっていくのです。

 この『澪標』の読者の皆さんとの出逢いも、まさに“よっぽどの縁”ですね。そして多くの方々との出逢いが私の人生の大きな糧となっています。これから出逢っていく数多くの方々とのご縁を大切に、それを己の羅針盤としてこれからの人生をしっかりと歩んでいきたいと思っています。

(大阪市浪速区)