澪標 ―みおつくし―

母がつないでくれたアロマテラピー 〜ラベンダー〜

相神 ゆり
アロマとハーブのサロンarbrede l'espoir主宰
2017年3月31日

 桜の花が咲き始めるこの時期は、私にとって少し胸がしめつけられるような季節です。最愛の母が亡くなったのは5年前の3月でした。母は、いつも世の中の3歩先を行き、ひまわりのように明るい人で多くの人から慕われていました。マクロビオティック料理研究家として、薬剤師、栄養士、国際薬膳師の資格も生かしながら関西を中心に四国、九州、時には海外まで飛び回っていました。

 私には17歳の息子がおり、子どもが1歳半の時に離婚しました。心にぽっかり穴が開いたような私に、庭で採れたカモミールやアップルミントなどでハーブティーを入れてくれました。「カモミールはリンゴの花のような香りがするんやよ」。そんな母の言葉とふわっと香り立つやさしく甘い匂い、庭に座って見上げた空にぽっかり浮かんだ雲を今でもカモミールティーを飲む度に思い出します。どんな時でも一番の理解者であり応援者だった母がこの世からいなくなってしまいました。

 悲しみにくれたその年の12月、新規事業のプロジェクトリーダーになりました。前を向いてがんばれと背中を押されているような気がして懸命に仕事に打ち込みました。プレッシャーが続くハードな日々の中で、次第に身体が悲鳴をあげていきました。子どもともすれ違い、このままではいけないとプロジェクト終了と同時に退職を決意しました。

 母がずっと私に伝えてくれた自然な生き方に共感する仕事をしたいと思い、入ったアロマテラピーの学校。母が残した本にフランスのモーリス・メッセゲ氏の「薬草療法」(自然の友社・1980年発行)がありました。ラベンダーは「神様がプロヴァンス地方に与えた贈り物」、読み進むうちに「胸部にすりこみ剤をよくすりこむと、肺が強化されて、肺炎、肺充血の治癒がうながされます」と記されています。

 母は、急性肺炎で病院に運ばれた時に「ラベンダーのお茶が飲みたい」と言ったのです。母はあの時、本能的に欲したのだろうか、その奥深さを教えられたようで涙が止まりませんでした。ラベンダーはリラックスを促す鎮静作用があることは有名ですが、抗菌、抗炎症、鎮痛、肩こり、筋肉痛、ヘアケア、火傷、皮膚の創傷などその作用は精油の王様と呼ばれるくらい万能です(ただし、さまざまな種類があるので良質な「真正ラベンダー」を選んでください)。

 「先生はラベンダー色の羽をつけて空に還っていきました」。母の生徒さんが書いたブログを目にしたのはサロンを始めたタイミングでした。母が私にアロマを導いてくれたメッセージのように、点と点がすーっと1本につながった瞬間でした。

 フランスでアロマに出会い、阪神大震災の時、子どものベビーマッサージ、離婚した時、折に触れアロマがやさしく包んでくれました。

 今、私はアロマの力で元気になるようなお手伝いをしています。母はそんな私をほほ笑みながら見守ってくれているような気がします。

 www.arbrearoma.com

 (あいかみ・ゆり、大阪市中央区)