澪標 ―みおつくし―

通知書

鈴木 武司
関西学院初等部教諭
2017年8月4日

 子どもたちが待ちに待った夏休み。自分が小学生だった頃、学校で勉強をしなくてよくなり、学校でプール開放などが行われることの楽しみや、いろいろな所に連れて行ってもらえるうれしさ。小学生時代の思い出は夏休みの出来事がほとんどのような気がします。そんな夏休みが終わりに近づくにつれて憂鬱(ゆううつ)になっていったことも思い出します。決して、学校が嫌いだった訳ではないのですが。

 現在1年生の担任をさせて頂いています。4月に入学してきた子どもたち。目にするもの全てが新鮮に映るようで、目を輝かせながら登校する姿や、不安のあまり、母親と離れるのがつらく時には目に涙を浮かべる姿がありました。しかし、わずか4カ月で子どもたちはすっかりたくましくなりました。入学時にはしっかりと書くことができなかった文字を、きちんと字形を捉えて丁寧な文字を書きます。なかには、書道教室に通っていなくても上手に文字を書くことができる子どももいます。制服を一生懸命にたたむ姿、げた箱の靴をそろえる姿、友だちに優しくする姿などは見ていて本当にほほ笑ましいです。

 1学期の最終日、そんな子どもたちに通知書を渡しました。そこでは一人一人に通知書を見せながら、1学期に頑張ったことを褒めます。子どもたちは初めて手にする通知書を見つめながらうれしそうな表情を浮かべていました。また、本校では、夏休み中に1年生だけ家庭訪問を行うので、それぞれのご家庭で通知書を保護者と眺めながら1学期を振り返り、2学期の課題を話します。

 1年生の通知書は3段階の評定。大変満足である「3」、十分満足である「2」、努力を要する「1」。それぞれの教科のそれぞれの領域ごとに「3」「2」「1」がつくので、通知書には数字がたくさん並びます。それ故、それぞれ数字の数が気になるようです。「3」の数が多かった、少なかった、などの声が多く聞かれます。

 しかし、大切なのは、それぞれの数値の数だけではなく、その数値の意味を理解することです。どうして「3」だったのか。どうして「2」なのか、何が足りなくて「3」ではなく「2」や「1」なのか。子どもたちのノートや作品などを見せながら説明をします。次の学期にどうすれば成績が上がるのか、そのことを把握せずに数値の数だけを気にしては意味がありません。限られた時間の中で、そういった学習面の説明をしたり、生活面の話をしたりしながら来学期につながる話をします。家庭訪問中、子どもの多くが家にいて、うれしそうにしたり照れくさそうにしたりしながら話を聞いている姿が印象的でした。

 1学期の最後、「待ちに待った夏休みですね」と言う私に、「待ちに待ってはいません」「早く夏休みが終わってほしい」「早く学校が始まってほしい」と言う子どもたちの笑顔が意外でした。夏休み明け、学校が大好きな子どもたちの笑顔を見るのが楽しみです。

 (すずき・たけし、兵庫県宝塚市)