澪標 ―みおつくし―

教師との出会いが、人生を変える

松本 昌子
株式会社ECC総合教育研究所 
2018年1月5日

 好きな先生に教わった教科は好きになり、嫌いな先生に教わった教科は嫌いになる、という経験をした方は多いのではないだろうか。それだけ、教師というのは、責任の重い仕事なのだと常に感じる。週に1〜2度しか接しない英語教師であっても、人に大きく携わり、人の人生を大きく変えることがある。

 自宅でECCジュニア教室を開講している先生に、こんな人がいた。

 その先生の教室に幼稚園の頃から通ってくれている、小学4年生の男の子が不登校になったという。その子は、不登校でもECCにはずっと通い続けてくれていたのだが、ある日を境に、それもできなくなった。家に引きこもり、ずっと自分の部屋で対戦型のゲームをしているらしかった。家族も手を尽くしたが、どうすることもできない。学校の先生が家に来てくれても、会うこともしない。でもその子はECCの先生だけは、なぜか部屋に入れるのだ。

 先生はその子の好きなゲームのことを教えてもらいながら、心を開こうとコミュニケーションをとる。2人は毎回「来週はECCにも学校にも行く」と口約束をする。そしてその約束が破られる。そんな日々をずっと繰り返した。

 その先生を担当し、途中経過を常に聞いていた私には、それは解決の糸口すらも見えないような状況に思われた。それでもその先生はあきらめず、その子に寄り添い続けた結果、なんと4カ月目に、その子は学校に通えるようになったのだ。もちろん、ECCにもだ。

 「英語教師は英語を教えることが仕事」というくらいの認識しか持っていなかったら、とてもここまではできやしない。そして、素晴らしいのは、この先生だけではない。1人の生徒とここまで深く関わることは、物理的に難しかったとしても、私が関わったすべてのECCの先生には、「その生徒の人生全般をサポートしよう」という気概があるのを感じる。

 いや、きっとECCに限ったことではない。教師という仕事は、「収入のため」と割り切ってやり切れる仕事ではないからだ。責任の重い仕事であり、またやりがいのある仕事だと思う。生徒が大人でも子どもでも、その成長を見て喜びを感じながら、楽しく仕事をしている先生たちを、私は尊敬している。

 年初にあたり、今年の目標を立てる方も多いと思う。大人である私たちもまた、「自分の大好きなことをしながら人にどう貢献していくのか」という視点で、この1年、そして今後の人生に思いをはせてみるのはどうだろうか。

 (まつもと・まさこ、奈良県生駒郡)