澪標 ―みおつくし―

文 通

鈴木 武司
関西学院初等部教諭
2018年1月26日

 学校の教員をしていますので、毎年の年賀状には、教え子のものが多くあります。現在担任をしている子どもから社会人になった教え子まで、たくさんの教え子が今でも送ってくれます。年に1度のやりとりだけになった教え子も増えてきました。

 そんな教え子の中に、私と文通をしている人がいます。その教え子は、必ず手書きで手紙を書いてくれます。最近では、ほとんど耳にすることがなくなった文通。ケータイ、スマホを使えばどこにいても簡単に情報のやりとりができる今の時代、手書きでの言葉のやりとりは逆に貴重でもあります。写真を付けて送ってくれることが多いので、その子の外見的な成長とともに書く文字も大人びていくのが見て取れてうれしくなります。3カ月に1度くらいで学校のことや家族のことを書いてきてくれます。私も返事を書くのですが、時間がかかります。そこにかける時間が長くなればなるほど、その人のことを考えられる気がします。

 その文通相手は、幼いころ学校の教師になりたいと言っていました。高校生となり、これまでさまざまな人と触れ合い、さまざまな経験をし、さまざまな勉強を通して、これからの夢はまた別のものとなっていくでしょう。

 そんな夢の話を文通相手とするのは、もう少し先のことかもしれませんが、一度だけそんな話に少し触れたことがありました。「どんな道に進んでも、あなたは人を導いたり、人に多大な影響を与えたりすることになります。そんな時のために、今できることを一生懸命に頑張ってください」と書いた記憶があります。いつまでも応援し続けたいです。

 昨年、2年生の子どもたちと国語の学習で「お手紙」という物語を読みました。登場人物の「かえるくん」が1度も手紙をもらったことのない「がまがえるくん」に手紙を書いたのですが、「かたつむりくん」に渡したので、なかなか「がまがえるくん」の手元に手紙が届きません。

 「がまがえるくん」と「かえるくん」が2人でその手紙を長い間待つという場面があります。「もっと、早く走ることのできる友だちに手紙を渡したら、すぐに手紙をもらえて2人ともうれしいのにね」と子どもに聞きました。すると、ある子どもが挿絵を見て言いました。

 「2人とも幸せそうな顔をしているよ」。それを聞いた別の子どもが「もしかしたら、長く待っているから、その間、ずっと幸せかもしれないね」と言いました。その一言で、クラスの子どもたちも幸せな気持ちになりました。

 メールやラインのようにすぐには届かない手紙。書いている間の時間や待っている間の時間を楽しみながら、これからもその教え子との「文通」を楽しみたいです。

 (すずき・たけし、兵庫県宝塚市)