澪標 ―みおつくし―

「水都モデル」への挑戦(2)

室井 明
NPO法人大阪再生プラットフォーム役員
2018年5月25日

「まちづくり仕掛人」の活躍する大阪!

 「まちづくり仕掛人」は、「水都モデル」実現の要である。今回は、彼らの挑戦を紹介したい。

 大阪川床「北浜テラス」が水辺再生の成功例として衆目を集めている。北浜はかつて、米市、金相場会所、大阪会議の舞台となった花外楼が立地したという歴史や、中之島公園の対岸という恵まれた立地条件にもかかわらず、近年は建物が川に背を向け河川とは絶縁状態にあった。

 「大阪に川床をつくろう」、「川と街に連続性をもたせよう」という地権者、テナント、NPO、地域住民等の熱意と活動が、「水都大阪2009」の際に「社会実験プログラム」としてスタートしたことから実を結んだものだ。店舗数も当初の3店舗から14店舗へと増加し、水都大阪の風物詩となっている。

 実は、河川空間のこのような利用は法律上ハードルが高い。河川法準則緩和というスキームを活用する等「まちづくり仕掛人」の企画力と実行力が実を結んだ事例である。

 「空堀商店街界隈(かいわい)長屋再生プロジェクト」。大阪都心に近い空堀界隈は空襲を免れた長屋が密集する地域であるが、老朽長屋を再生し、地域に新たな魅力を創出しようと、民間クリエーターが「仕掛人」となり動きだした。

 2002年に第1号の複合ショップ「惣(そう)」、昨年には第4号となるインキュベーション施設「龍造寺Lab造(みやつこ)」がオープンするなど活動が十数年も継続していることは称賛に値する。大阪の民間パワーの「底力」を示す事例である。

 「中之島GATE」。対象となった地点は、大阪湾から「水の回廊」への玄関口にあたり、かつて大阪税関等が立地し「川口」として栄えた場所だが、最近では人通りも少ない所である。ここに港と街を結ぶ鮮魚取引所「中之島漁港」を誘致し、新たな水辺拠点を創るプログラムに取り組んだのが、一般社団法人「水都大阪パートナーズ」(注・同パートナーズは現在は組織変更)である。

 大阪市からの土地借用スキームや、アートと連携し地域をよみがえらせる手法の開発など「仕掛人」の苦労の上に実現したもの。「中之島GATE」としての地域再生は始まったばかりだが、大阪では“おもろいもん”ができるということを実証した事例でもある。

 行政が「仕掛人」になることもある。「木津川遊歩空間プロジェクト」。空間のアイデアデザインコンペは、大阪府の土木部門と文化部門が連携したという珍しい組み合わせのコンペ。地域の思いを構想段階から運営段階に至るまでくみ上げていくプロセスはユニークでよく考えられている。空間創出と地域参加の二つの狙いを実現すべく、行政が「戦略的に仕掛けた事例」として注目に値する。

 他にもたくさんの事例があるが、大阪の「まちづくり仕掛人」の活躍は目覚ましい。彼らは、制度などソフト面にもたけ、地域にネットワークを持ち、そして何よりも熱意とアイデアがある。水都大阪のポテンシャルを生かし、まちをエネルギッシュに創り変えるには、彼らの力が必要不可欠であり、「仕掛人たち」をフルに生かせる“仕組み”を街や都市が有する事、それが「水都モデル」成功につながる。

 (むろい・あきら、兵庫県宝塚市)