澪標 ―みおつくし―

行政にも文武両道あり

内海 辰郷
 箕面市会議員
2018年12月14日

 ◆「紙と鉛筆」・「足と汗」

 本会議や常任委員会で執行部に対し、口を酸っぱくして申し上げてきたことがある。机の前に座って条例、事業、予算等について検討し、決裁文書を作るだけの「紙と鉛筆」すなわち、文の仕事だけでいいのですかと。今や「紙と鉛筆」はパソコンになってしまったが。

 女性政策担当職員は、3世代同居のいわゆる旧村の嫁と言われる女性の悩みは何だろう、転出入の激しい新興地の若い母親の子育てはどうしているのだろう、働く女性に今一番必要なものは、老々介護にいそしむ高齢女性の実態は、ボランティア活動をする女性に必要な支援は、その本音と実態に迫るのが先ではありませんか。

 農政担当職員は、兼業農家や専業農家の人たちと、商工観光担当職員は商工業者や観光協会の人たちと、高齢福祉課の職員は日々介護する家庭を訪れて語り合い、介護の大変さを自ら感じる、そんな足と汗で稼ぐ武の仕事の大切さを分かってほしいと。

 ◆市職員時代の体験

 これらのことは、議員になる前の市職員13年間の体験からくるものである。障害者福祉の仕事に携わっていた時のこと、お亡くなりになったが、当時、日本で初めての全盲の英語教師が本市の中学校に採用された。その高田先生が通勤で大変危険な思いをしているとの連絡があった。直ちに交通対策課と道路課の職員に応援を求めて、通勤経路を一緒に歩き、危険箇所への対応を行った。曲がり角を上手に曲がっていかれる先生に、歩幅で分かるんですかとお聞きしたら、おでこに当たる空気の変化がポイントですと言われたのが印象に残っている。

 また、肢体不自由児の1泊キャンプに参加し、脳性まひの重度の子の介護を担当した。食事、トイレ、入浴、わずか2日間でその大変さが身に染みてわかった。ご家族はこれが毎日なんだ、慢性的な睡眠不足、介護による腰痛など、実態を肌身で感じた。お母さんの一晩でいいからゆっくり寝たいとのつぶやきが心の底まで響いた。

 当時、彼らは養護学校を卒業した後、施策の貧困さから在宅を余儀なくされる状況にあった。在宅を余儀なくされる重度障害者があってはならない、日中生活できる場を作っていかねばならない、私の政治家としての原点になったのである。

 ◆まちを歩けば見えてくる

 議会でこんなことも主張してきた。道路課の職員はいつも黄色の車で道路パトロールをしているが、一度市内全域を歩いてパトロールすべきだと。歩行者にとって現状の道路がどんなに歩きにくいものになっているのか熟知すべきである。視覚障害者用点字ブロックは本当に有効になっているのか、車いすで移動する不便さを体感すべきだ。歩く側からの道路行政の在り方を徹底して考えるべきであると。

 私自身、時間を見つけては歩くことにしている。季節の移り変わりを感じ、まちの変遷を知ることができる。知人に出会って話し込んだり、久しぶりの家を訪ねてお聞きすることが何よりの勉強になる。家庭や地域の課題、そこにこそ政治の課題があるのだ。歩くことは出会うこと、学ぶことである。

 ◆生涯文武両道

 当然、議員も文武両道であるべきだ。条例、予算、事業の学習をはじめ、新聞、雑誌、図書に目を通しての研さん、各種審議会や委員会の傍聴、セミナー参加など文の仕事も盛りだくさんある。

 一方、地元の老人クラブ活動や清掃ボランティアに参加すること、そして、何より大切なのは、先ほども申し上げた一人でも多くの市民から意見を聞いていくことが武の仕事になる。

 最後に、自身のことで恐縮だが、私の趣味は読書と野球である。72歳の今も現役でプレーしている。仕事も趣味も文武両道を貫きたい。

 (うつみ・たつくに、大阪府箕面市)