おおさか未来予想図

 多くの外国人観光客(インバウンド)でにぎわった2017年の大阪。18年は国際博覧会(万博)誘致が本格化し、カジノを含む統合型リゾート(IR)や大阪都構想の賛否が問われる。各地で進む再開発やホテル建設の槌音(つちおと)は大阪の福音となるか。大阪で起こる未来への動きから予想図を描く。第1部は「先端技術のまち」をテーマに、ロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、情報通信技術(ICT)への取り組みを紹介する。

第1部「先端技術のまち」(3)

IoT
2018年1月5日

中小企業が疎結合 多分野連携新技術生む

卓越した技術を持つさまざまな中小企業から参加したプロジェクトのメンバー=大阪市浪速区

 関西に拠点を置く中小企業が得意分野を生かして連携し、モノのインターネット(IoT)技術を活用したシステムの構築・販売に取り組んでいる。5年目を迎えた事業の名称は「関西積乱雲プロジェクト」。各社の技術力をベースとした緩やかな連携「疎結合」が、必要機器の低価格化や通信環境の発達という上昇気流に乗り、具体的な成果を出し始めている。

■自由な体制

 「来年は今年以上にいい年にしましょう」−。昨年末、大阪市浪速区日本橋で電子部品などを提供する東亜無線電機の会議室に、プロジェクト参加企業から20人ほどのメンバーが参集。事業の進行状況や今後の方針などを確認していた。月1回の定例会合で、会費なし、規約なしの手弁当の集まりだ。

 プロジェクトには同社のほか、安全性の高いサーバーを構築する「ベルチャイルド」(大阪市北区)▽組み込みとシステム開発の技術を持つ「日新システムズ」(京都市)▽工業計器メーカー「木幡計器製作所」(大阪市大正区)▽組み込み技術や工業ネットワークの「スカイネットジャパン」(同市中央区)▽カナダに本社を置くソフト開発会社「コージェント・リアルタイムシステムズ」−など10社が参加する。

 さまざまな分野で高い技術力を持つ中小企業が参画しており、事業内容に応じて、自由な組み合わせで対応する。技術用語で「疎結合」と呼ばれる「一つ一つが自立した緩やかな連携」で、幅広い市場の要求に対応する体制を築いている。

■進む商用化

 「モノがインターネットでつながる」とどうなるのか。関西積乱雲プロジェクトが、得意とするのは遠隔監視の分野だ。

 2015年に離島の海水淡水化プラントの監視システムに採用されたのは、セキュア・マイクロクラウド「アイブレス」。ベルチャイルドとスカイネットジャパンを中心とするメンバー7社で、安全性の高いサービスを開発した。

 無人のポンプ設備の稼働状況や障害情報を常時収集・蓄積しており、静止画とともに離れた本部でリアルタイムに確認できる仕組み。アイブレスによって、貯水タンクに汚水が混入するなどの異常を検知し、不具合による設備停止を予防した。

 ほかにも、木幡計器製作所を中心に、病院で患者に提供する医療用液体酸素の遠隔監視システムを開発するなど、研究・実証段階から商用化へと進む事業が増えている。16年には神奈川県を拠点に「関東積乱雲プロジェクト」も設立した。

 関西積乱雲プロジェクトの結成を呼び掛けた、スカイネットジャパンの山崎稔取締役は「さまざまな分野で、とんがった技術を持つ中小企業の横の連携を発展させていきたい」と意欲を示す。小回りが利きやすい中小企業のメリットを活用し、新しい技術を生んでいる。

ミニクリップ
 IoT(Internet of Thingsの略、モノのインターネット) 家電や自動車、時計、工場、洋服、場合によっては人も含めたモノがインターネットでつながり、やりとりすること。インターネットを通じてデータを集めて分析することで、仕事の効率化を進めたり、新しい価値を生み出したりする。