おおさか未来予想図

 多くの外国人観光客(インバウンド)でにぎわった2017年の大阪。18年は国際博覧会(万博)誘致が本格化し、カジノを含む統合型リゾート(IR)や大阪都構想の賛否が問われる。各地で進む再開発やホテル建設の槌音(つちおと)は大阪の福音となるか。大阪で起こる未来への動きから予想図を描く。第1部は「先端技術のまち」をテーマに、ロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、情報通信技術(ICT)への取り組みを紹介する。

第2部「万博誘致の行方」(1)

将来の成長
2018年4月18日

建設費1250億円の巨大計画

万博の大阪誘致を盛り上げようと特別映像を放映した道頓堀のグリコサイン(左)。大阪市役所で松井知事らの出迎えを受ける崔在哲BIE執行委員長(右上)とBIE調査団を歓迎する咲くやこの花中英語部の生徒たち=いずれも3月(コラージュ)

 大阪で1970年に続く2回目の万国博覧会(万博)が実現するかどうかは、今年11月の博覧会国際事務局(BIE)総会で加盟国の投票で決定する。実現すれば55年ぶりとなり、半世紀の時を経ての開催となる。万博は今を生きる私たちに、どんな未来を見せてくれるのだろうか。誘致への期待や課題、会場の計画などを取り上げ、万博誘致の現状を探る。

 「持続可能な社会の構築に貢献できる」−。昨年6月、パリの博覧会国際事務局(BIE)であった万博誘致の初のプレゼンテーションで、松井一郎大阪府知事は訴えた。大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。国際社会の未来図を、大阪・関西で共有しようという思いを伝えた。

 開催地が決定される今年11月を見据え、開催計画を煮詰め、6月と11月のプレゼンテーションに向けた作業が進む。

■チャンスを

 今年3月には大阪誘致の実現可能性を判断するため、BIEの調査団が来阪した。今回の視察は誘致レースを制する重要なヤマ場。大阪の後はライバル候補地のロシア、アゼルバイジャンの訪問がある。

 「大阪の魅力を世界に発信するチャンスをください」と、市立咲くやこの花中学の英語部の生徒が大阪の熱気を伝えた。「将来の子どもたちのためにも必ず実現させたい」と吉村洋文大阪市長。松井知事らとともに熱烈な歓迎でアピールした。

 調査団は、会場候補地の人工島「夢洲(ゆめしま)」(此花区)を視察し、ミナミの道頓堀などにも足を運んだ。団長の崔在哲(チェジェチョル)BIE執行委員長は会見で、経済的な実現可能性や政府の計画など「暫定的には良好だ」との認識を示す一方、準備段階の途上にあっては「検討すべきことが多い」と指摘した。

 調査団が視察を終え、関西財界からは「手応えは悪くない」(関西経済連合会の松本正義会長)、「(大阪開催で)考えられる障害はないと確認してもらえた」(大阪商工会議所の尾崎裕会頭)との声も上がった。

 2019年の20カ国・地域(G20)首脳会合の大阪開催の決定も追い風に、万博誘致を大阪の成長の起爆剤にともくろむ。

■優位性踏まえ

 大阪万博は、(1)多様で心身ともに健康な生き方(2)持続可能な社会・経済システム−をサブテーマに、コンセプト「未来社会の実験場」は、ライフサイエンスの研究拠点や製造業が集積する大阪・関西の優位性を踏まえている。

 計画は、大小のパビリオンや広場を分散配置し、面積155ヘクタールの広大な人工島が会場。来場者の交流や、現実の空間の一部は仮想空間を重ね合わせる拡張現実(AR)などの最新技術を活用したイベントの場にするほか、会場の南には水上エリアを設け、付近にホテルを建設する。

 会場建設費は約1250億円で政府、地元自治体、民間企業などが3分の1ずつを負担。関連事業費として地下鉄の延伸や道路などのインフラ整備に、約730億円を見込む。半年間の開催期間で約2800万人の来場を想定。国の試算では、経済波及効果は1兆9千億円に上るという。

 開催地決定まで残り7カ月。府万博誘致推進室は「今は国内の機運醸成に力を入れている。ロシアもアゼルバイジャンも強敵だ。結果はふたを開けてみないと分からない。できることを自分たちを信じてやっていく」。

ミニクリップ

 万国博覧会(万博) 国際機関の博覧会国際事務局(BIE)が承認し、国際博覧会条約に基づいて開催される国家プロジェクト。かつては国の科学力や技術力を誇る場だったが、現在は地球規模の課題解決の方向性を示す場として機能している。


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