おおさか未来予想図

 多くの外国人観光客(インバウンド)でにぎわった2017年の大阪。18年は国際博覧会(万博)誘致が本格化し、カジノを含む統合型リゾート(IR)や大阪都構想の賛否が問われる。各地で進む再開発やホテル建設の槌音(つちおと)は大阪の福音となるか。大阪で起こる未来への動きから予想図を描く。第1部は「先端技術のまち」をテーマに、ロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、情報通信技術(ICT)への取り組みを紹介する。

第4部「スポーツと地域振興」(上)

聖地の輝き増す期待 魅力再認識市民に好機
2018年11月14日

ラグビーW杯とまちづくり

改装工事を終えた花園ラグビー場で記念撮影を楽しむ市民ら。W杯イヤーも間もなく=東大阪市

 アジアで初めての開催となるラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の開幕まで、1年を切った。会場の一つとなる東大阪市の花園ラグビー場は大規模改装工事を終え、“聖地”として一層輝きを増すことが期待される。行政と民間が“スクラム”を組む“オール大阪”のアピール活動も、W杯イヤーに向け熱を帯びてきた。

裾野を広げる

 「この感動は一生に一度だ」−。開催都市の大阪府、東大阪市と府内の民間団体などでつくる「ラグビーワールドカップ2019大阪・花園開催推進委員会」は今年9月末、インパクトのあるキャッチコピーのチラシを作成した。表紙を飾ったのは特別サポーターを務めるアイドルグループ「NMB48」。幅広い世代の関心を高め、ラグビーファン層の「裾野を広げる」のが狙いだ。

 大会組織委員会は、今年1月から抽選によるチケット販売をオンラインで実施。来年1月19日からは一般先着販売がスタートするが、売れ行きについては公表していない。

 府府民文化部スポーツ振興課の窪田哲課長補佐は「大阪(の売れ行き)は悪くないと聞いている」と強調。「大会自体は4年に1度だが、初のアジア開催ということを考えれば、日本開催は『一生に一度』かもしれない。ぜひワールドクラスの試合に足を運んでいただきたい」と呼び掛ける。

問われる真価

 花園ラグビー場は、総工費72億6千万円を費やした改修が完了し、夜間照明や大型ビジョンが新設された。10月26日夜には、日本代表が世界選抜と強化試合を行い、観客1万6846人を集めた。

 大会本番に向け着実に準備が整う一方で、「W杯が終わりではない」と話すのは、東大阪市スポーツのまちづくり戦略室の宮田潤主査。施設を所有する市にとっては、W杯イヤー後にこそ、まちづくりの核として“聖地”の真価が問われる。

 施設の活用については、改修前から市主催で音楽イベントを開催するなど、新たな試みが始まっている。新設備でナイターイベントやパブリックビューイングも可能になった。宮田主査は「市民に愛される施設になるよう、ラグビー以外の活用も検討を進める」と話す。

誇りの施設

 冬の高校ラグビーシーズンを間近に控えた11月、花園ラグビー場で見学ツアーがあった。養生中の芝生の緑が日差しを受けてまぶしく輝き、参加者からは「東大阪の誇りや」とため息が漏れた。

 ツアーを企画した東大阪観光協会の大西由起子会長は「W杯は市民にとっても、まちの魅力を再認識するいい機会。市民としてできることをやっていきたい」と目を輝かす。

 「ワン・フォー・オール(一人は皆のために)、オール・フォー・ワン(皆は一人のために)」。ラグビーの精神は、まちづくりにも欠かせない。

◇   ◇

 来年以降、ラグビーW杯(19年)、東京五輪・パラリンピック(20年)、ワールドマスターズゲームズ(21年)と国際的なスポーツ大会の日本開催が相次ぐ。大会を見据え、大阪のスポーツと地域振興を考える。

 ラグビーワールドカップ日本大会 2019年9月20日〜11月2日。世界の強豪20チームが参加し、国内12会場で初開催。東大阪市の花園ラグビー場では、イタリア対ナミビア(9月22日)▽アルゼンチン対トンガ(同28日)▽ジョージア対フィジー(10月3日)▽米国対トンガ(同13日)−の4試合が予定されている。チケットの一般先着販売は来年1月19日から。