連載・特集

さわやかNPO

薬物依存治療に道筋

大阪ダルク・アソシエーション
理事長 岡田清
住 所 大阪市東淀川区
電話・ファクス 06(6323)8910
メール osakadarc@gmail.com
URL http://www5.ocn.ne.jp/~darc/
2009年12月20日

当事者同士の支え合い促す

電話相談などで薬物依存症者らの回復を支援する倉田副理事長

 脳に作用する病にもかかわらず、治療よりも処罰が優先される薬物依存の問題に対し、当事者同士の支え合いを促す施設「大阪ダルク」を運営。当事者やその家族からの相談を匿名でも受け付け、多彩な支援を展開する外郭団体「フリーダム」と“両輪”となって、回復への道筋を示している。

 「クスリを使った経験がある人は手を挙げてください」。倉田めば副理事長は高校や大学で講演したときにこう問い掛けるが、反応はまずない。「これがこの国の現状」。

 薬物使用や所持が公になれば犯罪者扱い。司法による処罰が中心になり、家庭環境などその人の生き辛さの解消や、「やめたくてもやめれない」薬物依存症の治療には目が向けられにくい。救いのない社会環境で自己申告を望めるはずもなく、気軽に相談できる環境は未整備のまま。「薬物使用者は社会から存在を消されている」(倉田副理事長)。

 そんな中、通報される心配がなく匿名でも対応する相談機関が「フリーダム」。倉田副理事長もコーディネーター(調整役)として入るほか、薬物関係の専門家らが立場を超えて連携し、薬物依存からの回復のきっかけを提供している。

 家族らの個別相談も受け、「借金など薬物使用で起きた問題の後始末をしない」ことなど当事者との向き合い方を学べる。予防教育や刑務所での薬物依存離脱指導への協力など幅広く活動している。

 一方、大阪ダルクでは、薬物依存からの回復で最も重視される当事者同士の支え合いを展開。スタッフは主に回復者が中心で、同じ苦しみを体験した“仲間”だからこそ支援に説得力が生まれる。

 倉田副理事長も元薬物依存症者。14歳の時にシンナーを覚え、20歳には自分で薬物使用をコントロールできなくなる薬物依存症を発症した。

 「やりたい思いとやめたい思いが同時に出てきて引き裂かれる」日々。涙を流し土下座して「やめます」と宣言した1時間後には泣きながら使っていた。

 断食道場、恋人づくり、14人の精神科医師の治療を受け、勧められたことはすべてやったがやめられない。「自分の意志だけではどうにもならなかった」。

 依存性薬物は脳に作用。「ご褒美をもらった子供が、またご褒美をもらえるように行動するシステム」が脳にあり、そこを刺激する。繰り返されると、強烈な薬物への欲求が生まれるという。

 回復には、当事者グループなどで専門プログラムを受けるのが重要。そこにたどり着いた倉田副理事長は30歳でようやく「自分の言葉と感情を取り戻した」。

 大阪ダルクでは、薬物依存者が刑務所や病院などで解毒後、薬物を使わない新しい人生を歩むための初期的な回復を支援。プログラムの核となるのが、1日2回行うグループミーティングだ。

 孤独から解放される中、仲間の体験から生まれた知恵に学び、自分を見つめ直して薬物を断ち続ける力を養う。どんなにひどい薬物依存者でも回復のチャンスはあるという。

 倉田副理事長は、処罰中心の社会に対し、回復者の立場からこう呼び掛ける。「そろそろ手を携えてやっていきませんか」。

 薬物依存電話相談は毎週土曜午後3時〜同7時。06(6320)1196へ。


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