大阪発 癒やしの温泉巡り

宮城県・女川町 「女川温泉ゆぽっぽ」

2016年12月24日

清潔感、心地よい浴室

清潔感にあふれ、「霊峰富士」と「泉と鹿」が壁いっぱいに描かれた男性浴室

 宮城県の東端で、太平洋に突き出た牡鹿半島の基部に位置し、美しい海と山に囲まれた漁業の町「女川(おながわ)町」。2011年に発生した東日本大震災では16メートルを超える津波が押し寄せ、一夜にして町の約8割にもおよぶ甚大な被害をもたらした。震災から約5年半を経過した今は、千年に一度のまちづくりを目指す女川町の元気な姿が見られる。

 その復旧のシンボル的な存在が、震災から4年を経て15年3月21日にJR石巻線全線が開通し、新しく生まれ変わったJR女川駅だ。新たな駅の2階に併設されたのが、女川町温泉温浴施設「女川温泉ゆぽっぽ」である。施設は建築家坂茂氏の設計で、白い大きな屋根は女川の港で羽ばたくウミネコの姿をイメージしたもの。施設から女川湾とをつなぐプロムナードは、生まれ変わる町の中心となっている。

 私は、大阪市内で弁護士をしているが、震災の年から毎年秋に弁護士ら10人で東北の被災地へボランティア法律相談会に赴いている。必要となる諸費用は、全て参加メンバーの手弁当である。今年は、11月10日から13日まで岩手県陸前高田市と福島県南相馬市を訪れた。陸前高田市から南相馬市へレンタカーで移動する途中の11月11日夕刻に、同伴したメンバー8人と共に女川町に立ち寄り、復旧の進行状況を視察した。

 大の温泉好きの私は、新しく生まれ変わった女川駅を訪れ「ゆぽっぽ」に入浴した。私にとって1958カ所目の温泉入浴である。浴室は、清潔感にあふれ、日本画家・千住博氏による壮大な「霊峰富士」や心温まるタッチの「泉と鹿」の絵に囲まれた心地よい空間の中で浴槽に漬かることができた。

 泉質はカルシウム・ナトリウム塩化物泉、低張性アルカリ性低温泉(旧含食塩−塩化土類泉)、泉温27・3度(入浴用は適温に加温)で、筋肉・関節の慢性的な痛みやこわばりに特に効能がある。すぐ手前にある休憩所は、町民とともに実現した長さ10メートルもの「家族樹」が描かれている。関西から東北を訪れたならば、復旧を応接する意味でも、再生したこの「ゆぽっぽ」にぜひ入浴してみてほしい。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】宮城県牡鹿郡女川町女川浜字大原1の10
【電 話】0225(50)2683
【営業時間】午前9時〜午後9時(最終受け付け午後8時半)
【入浴料金】大人500円、小学生300円、幼児(小学生未満)無料
【定休日】第3水曜日
【交 通】
・JR仙台駅からJR仙石線で石巻駅へ約1時間、石巻線に乗り換えて女川駅へ約30分
・東北自動車道仙台南ICから仙台南部―東部道路―三陸自動車道を経由し石巻港南ICまで約1時間、そこから国道398号線を約30分