大阪発 癒やしの温泉巡り

長野県・湯田中温泉 「一茶のこみち 美湯の宿」(上)

2017年2月18日

生まれ変わった魅力の宿

湯田中温泉のシンボル的な共同浴場『大湯』

 北信濃の志賀高原の入り口にある湯田中渋温泉郷。横湯川、夜間瀬川流域に点在する湯田中・新湯田中・星川・穂波・安代・渋・角間・上林・地獄谷・沓野(くつの)の10カ所の温泉郷をいう。その温泉郷の中心で、長野電鉄湯田中駅からも一番近い場所に位置する「湯田中温泉」。古い旅館や規模の大きなホテルなど16軒が軒を連ね、同駅から夜間瀬川沿いの高台に向かって土産物屋や飲食店などが点在し、温泉街を形成している。

 ここの温泉で人気の共同浴場は、大湯・綿の湯・わしの湯・千代の湯・滝の湯・白樺の湯・弥勒の湯・平和の湯・脚気の湯の9カ所がある。かつては広く一般に開放されていたが、一部入浴客のマナーの悪さから今は地元民と宿泊客専用となっている(ただし、一部の共同浴場は、毎月26日に一般客の入浴が可能)。その中で「大湯」は、日本温泉協会発行の冊子「温泉」の「共同浴場番付」で、西の横綱の道後温泉と並んで東の横綱に選ばれている。

 若い頃から温泉大好き人間である私と湯田中温泉との出会いは古い。大阪で弁護士となる前の司法修習時代の1973年夏に、司法修習の仲間や当時交際中だった家内らと一緒に志賀高原でのハイキングを楽しんだ際、宿泊した宿の一つが湯田中温泉の国家公務員共済組合の経営する宿であった。

 この湯田中温泉の歴史は古い。文献に残る開湯は、7世紀頃の天智天皇の時代に僧智由によって発見され、「養遐齢(ようかれい)」と名付けられた。それが現在も同じ場所にある大湯。その時、僧智由はこの温泉を鎮護するため大湯のすぐ東側に弥靭石仏を建立した。別名にある遐齢とは長命長寿のことで、ここの温泉は「長命長寿の湯」とも称される。

 また古くは草津街道の宿湯の街であり、湯治場であった。肌に優しい湯田中の湯は、硫黄の強い草津温泉に入った後のあがり湯として重宝されてきた。松代藩の真田氏は、湯田中の温泉を愛し、城にも温泉を届けさせ、「真田の隠れ湯」とも言われていた。また小林一茶の門弟であった湯田中湯本は旅籠登録制度が施行された時の第1号だ。

 その湯田中温泉の中で2008年に宿名も設備も大きく生まれ変わった「一茶のこみち 美湯の宿」。その宿名の如く温泉が一番の自慢で、専任の「湯守」まで置く魅力にあふれる宿だ。その詳細は、次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】長野県下高井郡山ノ内町湯田中温泉
【電 話】0269(33)4126
【部屋数】45室(和室39室、和洋室4室、露天風呂付特別室2室)
【宿泊料金】和室=平日1万2千円(休前日1万4千円)、和洋室=平日1万8千円(同2万円)、特別室=平日2万8千円(同3万円)、2人1室税・サービス料別
【日帰り入浴】営業時間午前7時〜午後9時、入浴料金大人800円、小人400円
【休館日】不定休
【交 通】
・長野電鉄湯田中駅から徒歩約10分(同駅から無料送迎あり・要予約)
・長野自動車道信州中野ICから車で約20分