大阪発 癒やしの温泉巡り

長野県・湯田中温泉 「一茶のこみち 美湯の宿」(下)

2017年2月25日

日本旅館の魅力海外発信

湯田中温泉の周りの美しい景色を見ながら入れる貸切露天風「ほたるの湯」

 湯田中温泉の魅力の宿「一茶のこみち 美湯の宿」。私と家内は、今年1月の3連休初日の7日に初めてここに泊まった。1989年から代表を務めている斉須正男社長(71)の下、2008年に大幅なリニューアルを行った。それまでの宿名「湯田中ビューホテル」は、湯田中温泉を愛し、「雪ちるや わき捨ててある 湯のけぶり」など湯田中滞在中に多くの句を詠んだ小林一茶にちなみ新しく命名された。

 この宿のコンセプトは、一日中温泉の湯量、温度などの調整、管理を担う「湯守」の湯本辰男さん(64)を置き、良質の温泉そのものを存分に味わってもらうこと。自慢の温泉は、湯量豊富な三つの源泉をブレンドしたPH値7・9のアルカリ性単純温泉(アルカリ性低張性温泉)の混合泉。60〜90度の源泉を熱交換器に通すと50度以下に冷え、大浴場や露天風呂にためると41〜42度の適温となり、「水を混ぜない源泉掛け流しの温泉」を看板とする。

 湯は無色透明でさらっとしていて、体の芯まで温まって、入浴後もなかなか湯冷めしない。神経痛・関節痛・術後の回復・冷え症などに効能あり。浴場は、男女別の大浴場と露天風呂(深夜に男女を入れ替える)、そして屋上にはヒノキを敷き詰めた明るい雰囲気の「小蝶の湯」、シックな色調でまとめた「ほたるの湯」の貸切露天風呂を備える。

 料理も評判で、信州の地の旬の食材をメインとする。信州ブランドの和牛、豚、サーモン、川魚、旬の野菜やきのこなどの食材を使った田舎風会席料理を提供する。私が行った日にいただいたのは、海の幸の四種盛り造り、和牛オイル焼き、カキの天ぷら、合鴨と鶏ダシの吸物、信州そば、そしてこの宿名物で、一人一人にホダ(種木)のまま供される国産シイタケなど盛りだくさん。ホダは、持ち帰りもできて、帰宅後もシイタケの新鮮な味を楽しめるのも旅のよき思い出としてうれしい。

 女将( おかみ )は、現役のデルタ航空の客室乗務員であるほか、わが国古来の文化ともいえる日本旅館の良さを海外へも発信する目的からフランス人、イタリア人、韓国人などのスタッフを時期に応じてそろえ、海外のお客さまへも十分なサービスができるよう心配りをする。そのためか私らの泊まった日の宿泊客は、約半数が海外の人たちであった。

 斉須社長は「今後も日本旅館の持つ素晴らしさを海外にも発信し続けていきたい。そのために海外のお客さまにも湯浴を着てもらい、日本旅館の良さを感じ取ってもらいたい」と力強く話していた。

 信州へ旅したら、関西の人たちにもぜひ宿泊してもらいたい日本旅館の一歩先を見て歩む出色の温泉宿である。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】長野県下高井郡山ノ内町湯田中温泉
【電 話】0269(33)4126
【部屋数】45室(和室39室、和洋室4室、露天風呂付特別室2室)
【宿泊料金】和室=平日1万2千円(休前日1万4千円)、和洋室=平日1万8千円(同2万円)、特別室=平日2万8千円(同3万円)、2人1室(税・サービス料別)
【日帰り入浴】営業時間午前7時〜午後9時、入浴料金大人800円、小人400円
【休館日】不定休
【交 通】
・長野電鉄湯田中駅から徒歩約10分(同駅から無料送迎あり・要予約)
・長野自動車道信州中野ICから車で約20分