大阪発 癒やしの温泉巡り

鹿児島県・指宿温泉「指宿 白水館」(下)

2017年4月22日

「湯・旬・間・庭・伝」五つの魅力

白水館自慢の江戸の歴史を指宿温泉に再現した「元禄風呂」

 南国情緒にあふれ、「砂むし温泉」で有名な指宿温泉の中の屈指の名旅館「指宿 白水館」。「和の心」を基本とする日本旅館の宿の良さをほとんど備えているが、その中でも今回は、「湯・旬・間・庭・伝」についての五つの魅力を紹介する。

 まず一つ目は「湯」の魅力。泉質は塩化物泉(低張性・中性・高温泉)、泉温は59・7度(浴用は適温に調整)。名物「天然砂むし温泉」は世界的にも珍しいタイプの温泉で、砂の適度な重さと温泉熱の効果で身体の隅々まで血液が行き渡り、体中の老廃物が多量の汗と一緒に流れ出て、身も心もすっきり生まれ変わった気分にさせてくれる。

 また、その他の浴場も多種多様でスケールもドデカイ。浮世風呂・江戸石榴(ざくろ)風呂などの江戸の歴史を再現した「元禄風呂」、真ん中にあずまや式休憩所を設け、波音を聞きながら開放感を味わえる「露天風呂」、庭園を眺めながら入浴できる展望風呂「松雲風呂」、健康にも美容にもよく、身体の芯からデトックスできる「岩盤浴」などがある。

 二つ目は「旬」の魅力。宿で提供される和風会席をメインとする食の数々は、旬を逃さずに味わえる。毎月献立が変わり、四季折々の味覚を楽しむことができる。私が行った日にいただいた夕食は、10種にも及ぶ前菜・造り3種盛り・ロブスターテールネーズ焼き・黒豚の味しゃぶ・カツオのたたき・さつま汁など地の食材をメインとする大満足の料理の数々であった。

 三つ目は「間」の魅力。日本の美と安らぎを形にした「空間」の中で、心ゆくまでのくつろぎの時間を過ごせること。庭園越しに錦江湾と大隅半島を一望でき、創業50周年記念事業として建築。日本文化の様式美と伝統を受け継いだ宿の顔ともいえる客室棟「離宮」をはじめ、磯客殿、花の棟、薩摩客殿が並び、自分の好みと予算に応じて好きなタイプの客室を選ぶことができる。

 四つ目は「庭」の魅力。宿の誇りともいえる黒松を基調とした「庭」の美しさ、広さを楽しめること。手間と気配りが必要不可欠な庭の手入れを専任の多くのスタッフが心を込めて行う。五つ目は「伝」の魅力。宿に併設された約3千点のコレクションをそろえる「薩摩伝承館」や、館内の至る所で幕末から近代にかけての薩摩の歴史と文化を伝える「伝統」の粋を感じ取ることができる。

 北海道出身で営業支配人の渡部正尚さんは、「70周年を迎え、お客さまに今まで以上に日本情緒と歴史、自然、文化の良さを体得してもらえるような日本の宿を目指していきたい」と話していた。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

 ●温泉のプロフィル●
【所在地】鹿児島県指宿市知林の里
【電 話】0993(22)3131
【客 室】205室(定員947人収容)、離宮(41室)の他、磯客殿、花の棟、薩摩客殿あり
【宿泊料金】1万5千円〜5万円(サービス料込み・税別、2人1室)
【交 通】
・JR指宿駅からタクシーで7分
・鹿児島市内から車で約1時間10分