大阪発 癒やしの温泉巡り

石川県・中宮温泉 にしやま旅館(上)

2017年5月20日

白山の大自然を満喫

周りの四季折々の大自然と一体となって入浴できる男性露天風呂

 「中宮温泉」は、白山国立公園の中、日本百名山の霊峰白山(標高2702メートル)北麓に位置する温泉。山深い標高約700メートルの湯の谷川沿いに湧く秘湯だ。

 この温泉の歴史は古い。約1300年前の奈良時代末期、白山で千日修業を終えた白山開山の祖・泰澄大師が下山の途中、傷ついた白鳩(ハト)が谷川で羽根を癒やしているのを見つけ、川底から湯が湧いているのを発見。それが中宮温泉の始まりといわれる。

 江戸時代には幕府の天領として、天領の役人が湯治客の世話をしていたとのこと。明治になると民間の宿ができ始め、胃腸病に特に効能があることから、白山の「胃腸の霊泉」として知られるようになり、近隣だけではなく全国各地から湯治客が訪れるようになった。近年は、白山白川郷ホワイトロード(旧白山スーパー林道)の入り口として道路も整備されたが、明治・大正期の交通手段は主に徒歩のみで、効能の高いこの温泉を求めて、金沢や鶴来などから丸一日以上をかけて歩いて訪れていた。

 中宮温泉の2軒の宿の中の1軒が「にしやま旅館」。明治2年に初代が湯治宿として創業し、今は6代目西山喜治さん(43)が女将と5代目の父と力を合わせてこの宿を切り盛りする。この宿の歴史を見ると、創業当時は簡素な建物で長期湯治客用の宿として利用されてきた。

 約40年前に白山スーパー林道が開通するのに合わせて鉄筋5階建ての宿として再出発し、約15年前には4、5階部分を改築した。この宿は、白山山麓の“ほんまもん”の秘湯の宿として、日本秘湯を守る会の会員の宿にも所属する。冬季は豪雪のため休業するが、春の新緑、夏の深緑と避暑、秋のまばゆいばかりの紅葉など白山の大自然を満喫できる宿である。

 私は、昨年11月、福井市内で開催された日弁連人権大会に出席した直後の11月6日に白山山麓の秘湯の宿「岩間温泉・山※旅館」を訪問。その翌日に約15年ぶりに家内と2人で中宮温泉「にしやま旅館」に宿泊した。白山は、私が日本百名山全山登頂を目指して登山に熱中していた約40年前に初めて登ったのを手始めとして、以後も同行メンバーを替えて2度ほど登頂している。「にしやま旅館」の具体的魅力は次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

 ※は山竒

【所在地】石川県白山市中宮温泉
【電 話】076(256)7219
【部屋数】17室(定員約50人)
【宿泊料金】1万950円〜(税・サービス料込み、1泊2食)
【日帰り入浴】営業時間午前10時〜午後3時
【入浴料金】大人550円、小人250円、幼児200円
【営業期間】4月下旬〜11月下旬
【定休日】不定休
【交 通】
 ▽バス
・小松駅(午後1時発限定)→(バス35分)出合駅→(送迎バスあり、要予約)宿
 ▽電車・バス
・金沢駅→(電車4分)西金沢駅→(徒歩6分)新西金沢駅→(電車28分)鶴来駅→(バス60分)瀬女駅→宿※瀬女〜宿まで送迎あり(要予約)
 ▽車
・北陸自動車道福井北ICから90分
・北陸自動車道小松ICから70分