大阪発 癒やしの温泉巡り

長野県 沓掛温泉「満山荘」(上)

2017年6月10日

ふるさとを感じさせる

静かな田園風景が望める高台に建つ『満山荘』建物

 東信濃の小高い山並みに囲まれ、標高670メートルの穏やかな田園風景の中に位置する「沓掛温泉」。田舎育ちの私にとっても、どこか懐かしいふるさとを感じさせる温泉地だ。

 この温泉の歴史は古い。約1200年前の平安時代、国司の滋野親王が目を患い入湯したところ治癒し、薬師堂を建てて温泉の守護神としてあがめた時から開湯されたと言い伝えられる。温泉の裏山の山容が京都の小倉山に似ていることから、都をしのんで「小倉乃湯」と名付けられた。

 かつて旅宿が数軒あって湯冶客で大変にぎわい、近くの温泉地をはるかにしのいでいたが、今はひなびた静かな温泉地となっている。1971年には近くの田沢温泉とともに国民保養温泉地に指定された。

 この温泉の中心は、「小倉乃湯」と称される共同浴場と集落の洗い場。この集落は、井戸を掘っても水が出ず、温泉がすべて水の代わりをした古い時代の生活の名残が今も生きている。共同浴場から少し下った所にあるのが、日本秘湯を守る会会員の宿「満山荘」である。

 満山荘の歴史は、初代が東京オリンピック開催の64年に奥山田で創業したことに始まる。宿は、その名の通りに北アルプス全山を一望できる「山に満ちた宿」で、日本秘湯を守る会会員の宿の中でも人気の高さはトップクラスだった。私も残雪の多い2015年3月7日、妻や今村峰夫弁護士親子と一緒にこの宿に泊まった。

 満山荘は16年1月3日に奥山田での営業を取りやめ、温泉の安定供給を受けるため、同年4月20日、新天地である沓掛温泉で営業を再開した。宿は、同温泉で200年近く続く「おもとや旅館」を引き継ぎ、一部リニューアルしての再出発であった。満山荘の今は、3代目で独身の畑山幸希さん(27)が経営を引き継ぎ、2代目の両親と3人で力を合わせてこの宿を切り盛りする。満山荘の種々の魅力は次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】長野県小県郡青木村沓掛434
【電 話】0268(49)2002
【部屋数】和室13室(内ベット付7室、定員30人)
【宿泊料金】1万5千円(サービス料込み・税別、1泊2食、全ての曜日同一料金)
【日帰り入浴】不可
【交 通】
・JR上田駅から青木行きバス終点下車(バス終点より宿からの送迎あり、要予約)
・上信越自動車道上田ICから国道143号線経由約30分、または長野自動車道麻積ICから約30分