大阪発 癒やしの温泉巡り

長野県 沓掛温泉「満山荘」 (下)

2017年6月17日

四季折々の自然楽しむ

周りの四季折々の自然や田園風景を楽しみながら入浴できる、満山荘『万葉の湯』

 満山荘の一番の魅力は、温泉そのものが良質なこと。源泉掛け流しの「薬湯」として長く親しまれてきた。PH値が高く(9・2〜9・4)、毎分湧出量98リットルの身体に優しい単純硫黄泉で、高血圧・神経痛の他に精神の安定と美肌などに効能がある。浴場は、男女別のこぢんまりとした内湯、そして午後10時に男女を入れ替え、周りの四季折々の自然や田園風景を楽しみながら入浴できる庭園露天風呂「万葉の湯」がある。内湯は41度に加温しているが、露天風呂は38・5度の源泉のままの掛け流しだ。

 もう一つの魅力は、地の山菜や野菜、川魚、信州牛など主に旬の食材を使った女将(おかみ)手作りの田舎風創作料理を味わえること。私が行った日にいただいたのは、十六穀米スープ、ウド・ワラビ・タラノメなどの山菜の天ぷら、チーズの茶わん蒸し、牛ヒレとトウガンの吸い物、大イワナ春菊ジェノバ風など大満足の料理の数々であった。これら盛りだくさんの料理と信州の地酒を、雰囲気がよく洗練された食事処「Food 風土」でおいしく、かつ楽しくいただいた。

 建物は、地下1階が浴場と食事処、1階が玄関、ロビーと客室、2階が客室と自由にお客がいただけるコーヒーラウンジとなっている。私と同行した家内は、1階奥の客室(108号室)に泊めてもらった。その客室からは、緑いっぱいの周りの自然や田園風景が広がっていた。また部屋はチェックインの時から布団が敷かれたままで、すぐに横になってリラックスできるようにとの気配りである。

 沓掛温泉を囲む美しい里山には、ロマンあふれる伝説と山の暮らしが息づき、のんびり散策するには最適なエリアだ。共同浴場「小倉乃湯」、野沢菜が採れる季節になると毎日100人ほどが野沢菜を洗うために訪れるという集落の「洗い場」、衆生の疫病を治療して寿命を延べるという薬師如来を本尊として安置する「温泉薬師堂」、当地の冬期の主要な仕事であった炭焼きの窯(がま)を再現した「炭焼き窯」などを歩いて回るのも楽しい。

 信州へ旅すれば、懐かしい田園風景の中にたたずみ、温泉も料理も一級のこの宿に一度は足を運んでほしい。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】長野県小県郡青木村沓掛434
【電 話】0268(49)2002
【部屋数】和室13室(内ベッド付7室、定員30人)
【宿泊料金】1万5千円(サービス料込み・税別、1泊2食、全ての曜日同一料金)
【日帰り入浴】不可
【交 通】
・JR上田駅から青木行きバス終点下車(バス終点より宿からの送迎あり、要予約)
・上信越自動車道上田ICから国道143号経由約30分、または長野自動車道麻積ICから約30分