大阪発 癒やしの温泉巡り

石川県 岩間温泉「山崎旅館」 (上)

2017年6月24日

大自然、秘境感漂う秘湯

白山山麗の山深い大自然の中に建つ山崎旅館の建物

 加賀の名山で、日本百名山の一つ「白山」(標高2702メートル)。その白山を擁する市が、山と川と海がある白山市である。同市は多種多様な自然に抱かれた表情を持ち、その一つがたくさんの温泉地に恵まれた白山温泉郷だ。その中で白山に最も近く山深い秘境の地に湧くのが、白山温泉、中宮温泉、そして岩間温泉の三つの温泉地である。

 その中でも岩間温泉は、大自然に囲まれた最も秘境感漂う秘湯だ。白山北山麓の標高約800メートルの白山国立公園内に湧き、手取川支流の丸石谷と中ノ川の間の尾根づたいに位置する。

 この温泉の歴史は古い。約1300年前に白山の開祖泰澄大師によって開湯されたと言い伝えられる。近世では加賀藩家老が湯冶場としたとの記録も残る。明治以降は、岩間温泉の元湯がある湯の谷に湧く良質の湯を求めて、険しい山肌を越えて行く地元の人たちの湯冶場として利用されてきた。山里離れたあまりに山深い場所にあることから、「まぼろしの温泉」といわれていた。

 岩間温泉のひなびた一軒家が「山崎旅館」である。この宿の創業は1957(昭和32)年にさかのぼる。その歴史は、初代山崎信一さんが40歳で北陸電力尾口発電所次長の職を辞して、地元の活性化を図るため何とか温泉宿を作りたいと強く思い立ったことから始まる。信一さんは、苦難に苦難を重ね、約3・5キロメートル上方の湯元から温泉を引き、また山深く険しい山肌を切り開いて一里野高原から約6キロメートルの道をつけて、やっとの思いで宿の開業にこぎ着けたのである。この道の下に湯元からの湯線が通っていることから「湯の道」と呼ばれる。

 この宿は、当初登山小屋のような簡素な建物であったが、その後に建て替えやリフォームを行い、今は山中の素朴な温泉宿となっており、日本秘湯を守る会会員の宿でもある。2005年からは、信一さんの孫で三代目の山崎太一朗さんがこの宿を切り盛りする。約35年前の白山登山の際に1度泊まったことのある私にとって懐かしい宿である。

 そして昨年、紅葉の盛りを少し過ぎた11月6日に本当に久しぶりに家内や今村峰夫弁護士親子の4人で宿泊した。岩間温泉「山崎旅館」は、昔の姿そのままの正真正銘の秘湯の宿であった。この宿の数々の魅力は、次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】石川県白山市尾添ム4の1
【電 話】076(256)7950
【部屋数】15室(本館10室、別館5室、定員45人)
【宿泊料金】本館9500円(1泊2食、入湯税150円のみ別)〜、別館1万2500円(同)〜
【営業期間】冬は積雪のため、5月下旬〜11月初旬の季節営業(今年は7月1日から営業開始)
【定休日】毎週水曜日(ただし休前日の場合は翌日に変更)
【日帰り入浴】営業時間午前11時〜午後6時
【入浴料金】大人700円、小人400円
【交 通】
・JR西金沢→(北陸鉄道20分)鶴来→(バス40分)瀬女高原→(送迎あり・要予約25分)宿
・北陸自動車道小松ICから車で約65分