大阪発 癒やしの温泉巡り

福岡県・二日市温泉 「大丸別荘」(下)

2017年10月14日

豪華、モダン、レトロな雰囲気

大正亭の宿泊客専用のレトロさの中にもモダンさがただよう貸し切り風呂「水心の湯」

 博多の奥座敷と称される二日市温泉の中で一貫して純和風旅館としてのスタイルを守り続ける「大丸別荘」。創業は慶応元(1865)年で、今から150年以上さかのぼる。大正時代に宮内庁から宿の特別指定を受けて以来、多くの宮殿下や妃殿下の宿泊を賜ってきた。また政府登録国際観光旅館として認可され、天拝山麓に約6千坪の敷地を有し、約3千坪の日本庭園を四方から囲むように平安亭・大正亭・昭和亭とそれぞれ趣の異なる客室棟が並ぶ。

 古く天平時代に発見された温泉は、ラジウムを含む弱アルカリ泉。泉温55・5度(浴用は適温に調整)、神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・疲労回復などに効能あり。この宿自慢の浴場は、天井が高く広々とした豪華さの中にもレトロな雰囲気をかもし出す万葉時代の当温泉地の呼び名を取った男女別の大浴場「次田の湯」、そして大正亭宿泊客専用の24時間自由に入れるモダンさとレトロな雰囲気を併せ持つ貸し切り風呂「水心の湯」と「芦の湯」の二つがあるのもうれしい。

 それぞれの客室から囲まれる約3千坪の日本庭園は、緑があふれ、池にはハスの花が咲き、小鳥のさえずりも聞こえる温泉街の中の別天地だ。客室は、平安亭(新館)、大正亭(木造)、昭和亭(小部屋)の三つのタイプに分かれており、自分の好みと予算に応じて選ぶことができる。

 私と家内は、1949年に昭和天皇が九州初御巡幸の際、2日間宿泊された「大正亭・雲井の間」に運良く泊まることができた。窓側に木造りの内風呂とリビングがあり、12帖に10帖の和室2間が続く。庭園がきれいに見える、落ち着きがあってゆっくりくつろげる空間だ。

 夕食は、地の旬の素材を使った9種類もの八寸、タイ・カツオ・イカなどの造り4点盛り、すっぽん味のお椀(わん)、豚の角煮などの箸休め、スズキの焼き物などシンプルさの中にも地の味を生かしたおいしい料理の数々である。「大丸別荘」は、関西から九州へ旅した時にはぜひ泊まってみてほしい福岡県を代表する出色の日本旅館である。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】福岡県筑紫野市湯町1丁目20の1、二日市温泉
【電 話】092(924)3939
【宿泊料金】平安亭(新館)2万1534円(税・サービス料込み)〜、大正亭(木造)2万6286円(税・サービス料込み)〜、昭和亭(小部屋)1万9158円(税・サービス料込み)〜、いずれも1泊2食、2人1室の場合
【日帰り入浴】なし ※ただし日帰り入浴付き食事プランはあり
【定休日】不定休
【交 通】
・博多駅→(JR15分)二日市駅→(タクシー約5分)宿
・福岡空港→(高速バス約25分)筑紫野バス停→(徒歩約5分)宿