大阪発 癒やしの温泉巡り

新潟県・村杉温泉 「環翠楼」(下)

2018年1月6日

効能高いラジウム温泉

離れの「和みの昭和の間」にある雰囲気のいい半露天風呂

 村杉温泉の老舗旅館の宿名「環翠楼(かんすいろう)」は、「緑に囲まれた館」という意味。その名の通り大きな森に囲まれた四季折々の美しい顔を見せてくれる庭園を持つ。宿を営む荒木家は、村杉温泉が発見された時から数えて26代目。旅館経営を始めてからでも16代目となる。

 現在は15代目大女将(おかみ)の荒木真利子さん、16代目若主人の荒木風太さん(36)とその妻で若女将の弥栄子さんの3人が力を合わせて宿を切り盛りする。コンセプトは「静かな自然の中にたたずむレトロな日本建築の宿を今のままの状態で守っていくこと」。

 この宿には、私が宿泊して感じた主に五つの魅力がある。まず一つ目の魅力は、宿の一番の顔といえる広大な森のような庭が存在すること。江戸末期の創業当時から自然のままの姿で存在し、長年かけて育った松や杉などが真っすぐに伸びる。庭の中央にある池ではたくさんのコイがゆっくり泳いでいる。

 第2の魅力は、効能の高い天然のラジウム温泉に静かにのんびりと入浴できること。ラジウム温泉(放射能泉)とは、ラドン(自然にある放射能を持つ元素)を含む温泉。温泉中に含まれるラドンが常温では気体となり、それを吸入することでより一層効果が高められる。温浴中に呼吸と皮膚を通して有効生成分が吸収され、人体の血液および組織に働いて血液内の老廃物質、中性脂肪、コレステロール、過剰な糖分などの生理的代謝作用を促進して、新陳代謝を活発にする。それによって心身の疲労回復、老化防止などを促すとされる。

 第3の魅力は、食を通してこの宿らしいもてなしを受けられること。周辺は豊かな山や川の幸、新鮮な海の幸、清い水にも恵まれたこの上ない食の宝庫で、泰茂料理長の食材の味をそのまま生かした上品でヘルシーな郷土料理を客室で気兼ねなくゆっくりと味わえる。

 第4の魅力は九つある歴史を重ねた部屋の中から自分の好みと予算に応じて部屋を選べること。いずれの部屋からも四季の移ろいを感じられる美しい庭を眺めることができる。私らのグループは、この宿で一番眺めがよく、緑いっぱいの庭に囲まれた大正の間の中の2階「鶴の間」に宿泊させてもらった。

 第5の魅力は、周りに見どころが盛りだくさんあること。杉の巨木の下、岩をふんだんに使った「村杉温泉露天風呂」、村杉温泉の源泉のある「共同浴場薬師の湯」、源泉をくみ上げての飲泉もできる「薬師の足湯」、すぐ近くにある「出湯温泉」と「今板温泉」の湯めぐり、そして「五頭山トレッキング」、「五頭薬用植物園」、全長5キロメートルに250余りの歌碑や句碑の並ぶ「やまびこ通り」、冬の白鳥の渡来地として有名な「瓢湖」など。若主人の荒木風太さんは「村杉の地で永く歴史を刻んできたこの宿の宝ものである庭と建物は、将来もぜひ力を合わせて守り続けていきたい」と話す。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】新潟県阿賀野市村杉温泉
【電 話】0250(66)2131
【部屋数】9室(本館5室・露天風呂付離れ2室・桧風呂付離れ1室・一戸建離れ1室)
【宿泊料金】1万5千円(税・入湯税別、2名1室)〜※季節限定宿泊プランあり
【日帰り入浴】不可
【入浴付昼食】6千円(税・入湯税別)〜
【休館日】不定休
【交 通】
・JR羽越線水原駅→(車で約10分、宿の無料送迎あり・要予約)宿
・磐越自動車道安田IC→(車で約10分)宿