大阪発 癒やしの温泉巡り

山形県・銀山温泉 「能登屋旅舘」

2018年1月20日

銀山温泉の象徴的存在

初冬に訪れた、和を基調として洋の要素も取り入れた銀山温泉のシンボル的宿「能登屋旅舘」建物

 東北の山深い仙境の地に存在し、まるで別世界へ入り込んだような大正ロマンの雰囲気が色濃く残る「銀山温泉」。同温泉を代表する老舗旅館が「能登屋旅舘」である。私の好きな日本の温泉旅館のうちの十指に入る素晴らしい宿だ。

 創業は1892(明治25)年。現在の建物は、1921(大正10)年頃建てられたもの。大正時代の雰囲気あふれる銀山温泉の中でも象徴的存在である。建物は木造3階建で、入母屋、金属板茸(ぶき)の屋根、その上部の塔屋が印象的でレトロな外観を醸し出す。和風を基調とした中に、玄関上部のバルコニー、玄関柱の柱飾り、半円形の欄間のファンライトなど洋風建築の要素を垣間見ることができる。

 ひときわ目につく向かって右手の大きな看板は、地元大石田町出身の左官職人・後藤市蔵によって製作されたもの。寛文年間、銀山開発に尽力した当館初代「木戸佐左エ門」の名が大きな文字で装飾されている。

 同旅館は97年、「国土の歴史的景観に寄与したもの」として、国登録有形文化財にも登録された。文人墨客からも愛されている宿で、45(昭和20)年8月には山形出身の歌人・斉藤茂吉も湯治に訪れている。

 この宿自慢の温泉は、源泉温度63・8度の泉質ナトリウム−塩化物・硫酸塩温泉。神経痛・創傷・皮膚病・婦人科疾患などに効能あり。浴場は、別館1階にある男女別の木を基調とした大浴場と、そのすぐ外側にある眺望のいい露天風呂、旅館から高台へと続く長い階段を上がると開放感いっぱいの展望露天風呂(冬は積雪のため使用不可)、そして開業当時から元湯として利用され、本館地下にある貸切洞窟風呂がある。

 能登屋旅舘は、温泉の宝庫である日本の数多ある温泉宿の中でも、古き良き大正ロマンの雰囲気が色濃く残る出色の温泉宿であり、関西からは遠いが、ぜひ一度は行ってほしい宿である。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】山形県尾花沢市大字銀山新畑446
【電 話】0237(28)2327
【部屋数】和室15室(定員82人)本館2〜3F(和室9室)、別館2F(和室6室)
【宿泊料金】1万7千円〜(1泊2食、2人1室、消費税・入湯税別料金)
【定休日】なし
【交 通】
・JR奥羽本線大石田駅より定期バス約40分(または宿の送迎バスあり・要予約)
・東北自動車道山形北ICから国道13号線経由で車で約80分


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