大阪発 癒やしの温泉巡り

秋田県・強首温泉 「樅峰苑」(中)

2018年2月3日

日本のさまざまな文化提供

登録有形文化財にも登録され、風格漂う重厚な樅峰苑建物

 秋田県の日本の原風景が残る強首(こわくび)の田舎にある豪農の宿「樅峰苑(しょうほうえん)」。今の代表は、小山田家16代当主小山田明さん(60)。小山田家の歴史は古い。今から400年以上前の慶長年間、秋田藩の初代藩主佐竹義宣公が国替えによって常陸国水戸から出羽国秋田に移封された当時、旧藩主を慕って秋田に来たのがその歴史の始まり。最初は、西木村の小山田部落に住居を構え住んでいたが、その後開田と水運の便を考え、強首村に移住し定着したと言い伝えられる。

 移住定着した人物が、小山田家初代当主・治右衛門。時期は、1650年代の承応・明暦の頃と推定される。以後、広大な土地を所有する大地主として、また強首村の庄屋や他領との境を守る拠人(こにん)として、当時の地域行政の中心的役割を果たすとともに、地域一帯の開発にも尽力したと伝わる。明治から昭和にかけては歴代当主が代議士や県会議員の要職を務め、350年におよぶ小山田家の歴史は今に続いている。

 現在の小山田邸は、1914(大正3)年の強首大地震で倒壊した後、12代当主・小山田治右衛門が3年の歳月をかけて宮大工で匠長であった井上喜代松に造らせ、17年に竣工(しゅんこう)した贅(ぜい)を尽くした建物。敷地面積約2千坪、建物面積約200坪、建物の高さ約15メートルの風格漂う古き良き時代の姿を今にとどめる建物だ。

 屋根は入母屋(いりもや)造りの千鳥破風(ちどりはふ)で、表玄関の唐(から)破風とともに大城郭を思わせる重厚さが随所に見られる。16・3メートルの長大な一枚通しの天然秋田杉を使った玄関口の廊下、ルネサンス調の親柱や手すりなどに擬洋風の技法が凝らされた階段室などは実に見事。戸外の広大な庭には、樹齢380年以上と推定される樅(もみ)の木群(高さ30メートル以上、幹回り約4メートル)がそびえ、この邸宅の古い歴史を物語っている。

 「樅峰苑」という宿名は「樅の峰」という意味から名付けられた。宿のコンセプトは「古き良きたたずまいを基調とした、日本のさまざまな文化(建築文化・温泉文化・食文化など)をお客さまに誠実に提供し、後世に伝えていくこと」。樅峰苑の他の詳細は、次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】秋田県大仙市強首字強首268
【電 話】0187(77)2116
【部屋数】7室(和室)
【宿泊料金】1万4500円(1泊2食、消費税・入湯税別)〜
【日帰り入浴】営業時間午前11時〜午後3時
【入浴料金】大人600円、小人300円
【定休日】年中無休
【交 通】
・JR奥羽本線峰吉川駅→宿(宿の送迎車で約6分・要予約)
・秋田自動車道西仙北IC→宿(車で約7分)
・秋田空港→宿(飛行機を利用の場合、宿の送迎車で約16分・要予約)