大阪発 癒やしの温泉巡り

秋田県湯沢市 秋の宮温泉郷「鷹の湯温泉」(上)

2018年3月3日
秘湯の宿と言うに値する周りが残雪に包まれた初春の鷹の湯温泉

 秋田県最南端で宮城県との県境に位置し、栗駒国定公園の中にある「秋の宮温泉郷」。この温泉郷の歴史は古い。県内でも最古の発見とされ、古く奈良時代に僧・行基によって存在が知られたと言い伝えられる。秘湯の雰囲気が漂い湯量も豊富で、宿ごとに異なる源泉を持ち泉質や効能もさまざま。

 中でも最も秘湯の趣があって、日本秘湯を守る会会員の宿が「鷹の湯温泉」。宿の建物は、雄物(おもの)川支流の役内(やくない)川に面し、川辺に沿ってウナギの寝床のように細長く建つ一軒宿だ。昔、傷ついた鷹がこの湯に漬かって傷を治していたことから「鷹の湯」と呼ばれるようになった。

 もとは「横堀酒造」という名で酒造業を営んでいた初代小山田秀さんが、交通の難所とされたこの地で宿を創業したのが1885(明治18)年。当初は近くの農家の人たちの湯治場として利用されてきた。2代目八兵衛さんが苦労して道を開き、その後、冬季観光に先鞭(せんべん)を付けたのが3代目兵太郎さんだった。今は、4代目小山田光太郎さんがいずれ5代目となる長男・光博さんと共に力を合わせてこの宿を切り盛りする。

 温泉大好き人間の私は、温泉の中でも大自然の中で頭を空っぽにできる秘湯の宿が好きだ。私の思い描く「秘湯の宿であるための主な条件」は、周りが静かな大自然の中にあること、建物は余り大きくない木造であること、温泉が自家源泉で掛け流しであること、宿の人たちが秘湯の宿であることに誇りを持ち、後世まで今の姿を伝えていきたいと思っていること。

 「鷹の湯温泉」は、いずれの条件も満たす正真正銘の秘湯の宿だ。私は、約15年ぶりに家内を伴って昨年3月18、19の両日に残雪の多く残る宿を訪れた。4回目の訪問である。次週「鷹の湯温泉」の数々の魅力について紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】秋田県湯沢市秋の宮字殿上1番地
【電 話】0183(56)2141
【部屋数】20室(和室、定員60人)
【宿泊料金】1万2千円〜1万5千円(2人1室、税・入湯税別)
【日帰り入浴】営業時間午前11時〜午後2時
【入浴料金】大人650円、小人325円
【交 通】
・JR奥羽本線横堀駅→宿(送迎車で約30分・要予約)
・東北自動車道古川IC→宿(鳴子経由、車で約90分)