大阪ロマン紀行

 大阪のDNAを感じさせる場所や企業、人を、独自の嗅覚を持つコラムニストの岡力氏が、関西に点在するオカルトスポットを、妖怪講座が人気の亀井澄夫・妖怪研究所所長が、代わる代わる紹介していきます。二人の案内人がお薦めする“ディープ大阪”を存分にお楽しみください。

明石のピンチ救った天草タコ

今回の案内人
岡 力
(コラムニスト)
2013年7月12日

たこ焼き秘話

大阪イギー店長の奈良崎さんと天草のタコ

 夏至から数えて11日目にあたる7月2日ごろを「半夏生」と言い、関西では古くからこの時期にタコを食べる習慣がある。これは、タコ足のように稲が田んぼへ根付くよう農家の方が「げんかつぎ」した事に由来している。

 最近では、滋養強壮に効くタウリン等の成分が多く含まれていることから夏バテ防止に食べる傾向もある。特に名産地である兵庫県明石市を有する関西では、古くからタコは、料理食材として切っても切れない仲になっている。

 しかし全国的に知名度のある「明石のタコ」が一度絶滅したことは、意外に知られていない。昭和38年、海水の異常低温により明石海峡のタコは死滅する。年数をもじり「サンパチ冷害」とも呼ばれ深刻な被害をもたらした窮地に、救世主のごとく現れたのが遠く離れた九州熊本の「天草四郎」ならぬ「天草のタコ」である。

 天草から大量に購入し放流されたタコは、その後、明石の風土にもまれ、その子孫が今日のブランドを支えている。そんな天草のタコを食べることができるお店が十三にある。

 店長の奈良崎洋喜さんは、本当に美味(おい)しいたこ焼きを作るべく独学で勉強し、3年前に脱サラして「大阪イギー」を開業。表面は「カリッ」、中身は「トロッ」とした、たこ焼きの中から出現する「天草のタコ」。他店とは、明らかに一線を画する味が評判を呼び多くのファンがお店を訪れている。

 「田舎が天草と言うこともあり仕入れています。天草タコには、乾物に適した有明海産と刺し身に適した八代海産があります。お店では、足が短く脂が乗って柔らかい八代海産を使用しています」と語る奈良崎さん。

 取材終了後、噂(うわさ)のたこ焼きを注文。今日の関西食文化を救った救世主、「天草のタコ」に感謝の意を表し冷たいビールで乾杯したいと思います。「いただきます!!」

■大阪イギー
大阪市淀川区十三東2の3の10
営業時間11時半〜午後8時
 ※生地がなくなりしだい終了
定休日:土、日、祝日
http://tfujapan.com/

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