大阪ロマン紀行

 大阪のDNAを感じさせる場所や企業、人を、独自の嗅覚を持つコラムニストの岡力氏が、関西に点在するオカルトスポットを、妖怪講座が人気の亀井澄夫・妖怪研究所所長が、代わる代わる紹介していきます。二人の案内人がお薦めする“ディープ大阪”を存分にお楽しみください。

上方落語 「替り目」

麺と手料理「ひらの」
大阪市東成区玉津1の1の1
06(6978)3788
午後5時半〜午前2時
月曜休み・予約可
2016年8月6日

和食仕込みの麺と手料理

一年中人気No.1の「もつ鍋」

 泥酔した男が家に帰ってくる。仕上げに1杯呑(の)もうとするがアテがないので、妻におでんを買いに行かせる。そこへ通りかかった屋台のうどん屋に酒の燗(かん)をさせ、さんざんに困らせる。上方落語「替(かわ)り目」である。

 一つの店の中で、うどんとそばの専門店とおでんや珍しい一品を揃(そろ)えた居酒屋が、見事な調和を見せているのは、麺と手料理「ひらの」だ。

 オーナーシェフの春山栄二さんが、日本料理の修行をした上に、父からうどんの製法を学んで、美人の誉れ高い依子(よりこ)夫人と二人三脚で始めた店が、この9月で丸15年になる。

 毎日打つ細うどん麺、鰹(かつお)と昆布から採るだし汁に絶対の自信を持つ。そうしたメニューが20種近くある。注文のビッグ3は、「カレーうどん」(720円・全て税込み)「天ぷらうどん」(820円)「けいらんうどん」(620円)だ。そばでは「天ざる」(千円)に根強い人気が集まる。

 居酒屋メニューの一押しは、このうどん入りの「もつ鍋」(1850円)で、味噌(みそ)味がもつの臭みを消してうまみを増す。ボリュームも、たっぷり2人分あって、上質の山形牛のすじ肉を赤味噌でじっくり煮込んだ「牛すじどて焼」(450円)と双璧をなしている。他にも「まぐろの中おち」(650円)「まぐろのユッケ」(700円)「うどんのグラタン」(570円)「うどんのピザ」(550円)、さらには「魚介のトマトカルパッチョ」(750円)や「ごまの葉ずし」(350円)などオリジナル料理が目を引く。

 「生ビール中ジョッキ」「ハイボール」が共に400円と安い。“月替り”地酒(500円から)は、日本酒党にとって見逃せない。“日替り”メニューも豊富なので、“替り目”ごとに足を運ぶ値打ち十分の店である。

(演芸評論家)

最新記事