相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語「水の呑み分け」 

懐石料理・おおさか割烹「利宝」
茨木市春日1の5の5
072(623)8000
午前11時半〜午後2時(ランチタイム)と、午後5時〜同10時
火曜休み、予約可
2017年2月4日

地元名水で味わう割烹

料理の命、宮水を汲む井戸

 水を巧みに呑(の)み分ける男がいる。「ただ(・・)、ス(・)ーと流れて行った」ので“京は糺(ただす)の森の水”だとへんな理屈を述べる。こんな調子で“美濃の国は養老の滝の水”や“大坂は西町奉行所で拷問を加えた罪人が気絶した時に気付けに与える水”など奇妙な呑み分けを披露する。文献上に載っているが演じ手のない珍しい噺(はなし)「水の呑み分け」である。

 料理の命は、“水”と昆布と鰹(かつお)にある、とする信念の若林三雄オーナーは、かつて酒の蔵元が多かったこの地に、必ずや宮水の水脈があると見当を付け、58メートル地下で見事に掘り当てた店が日本料理の「利宝(りほう)」である。この水と利尻産の5年物昆布、茨木市内にある花かつお専門店の老舗「山崎屋」の削りたて荒節を毎日必要量だけ納入してもらうなど、徹底したこだわりで料理している。

 この理念を実現させているのが、京と大阪の一流店で腕を磨いた、この道36年の廣谷(ひろたに)久明調理長だ。

 メニューは、おすすめコース、懐石料理、お弁当、一品に大別されるが、人気なのは「四季彩(さい)懐石」(6500円、夜のみ全てサ別)と「宴(うたげ)」(4500円)。

 ランチタイムには、ミニ懐石「宝」(2500円)や、江戸焼のうな重(2700円・3300円・3800円)が喜ばれている。

 日本酒にもこだわりが強く、一般の店頭売りをしていない奈良県産の「梅乃(の)宿」(180ミリリットル650円)が一押しだ。他にも「玉乃光」「越州(えっしゅう)」「八海山」「奥」など珍種が揃(そろ)っている。またドイツワイン「フーバー・シューベルトブルグンダー」(赤)、「フーバー・ヴァイスブルグンダー」(白、ともに720ミリリットル4600円)にも挑戦して欲(ほ)しい。

 「気持ちを込めて料理すれば、必ずお客さまに伝わります」と、“水”も滴るいい男の廣谷調理長は、おもてなしの神髄を披歴した。

(演芸評論家)